占星術講座5:占星術のアスペクト
はじめに:占星術のアスペクトとは?
占星術において「アスペクト」は、天体同士が特定の角度で形成される「位置関係」を指します。これは、ホロスコープ全体の流れや天体同士の影響を読み取るための重要な手がかりとなります。
たとえば、ある天体同士が強いアスペクトを形成していると、互いに作用し合い、その人の性格や運命に大きな影響を与えます。アスペクトを理解することで、「どのような運命の流れが生じやすいのか」「特定の課題にどんな影響があるのか」をより深く解釈できるようになります。
この講座では、アスペクトの基本から種類、解釈の仕方までを詳しく解説していきます。ホロスコープ解読における「アスペクト」について一緒に理解していきましょう。
- 目次
- アスペクトの分類:影響力の違いを理解する
- アスペクトの種類と一覧表
- ホロスコープ上のアスペクトの表し方
- アスペクトのオーブの決め方
- 『複合アスペクト』とは?
- ホロスコープにアスペクトがないとき
- アスペクトの調べ方
アスペクトの分類:影響力の違いを理解する
アスペクトは影響の度合いによっていくつかに分類されます。ここでは、どのような分類があり、アスペクトには影響の強弱があることを理解してください。
第一種(メジャー)・第二種(マイナー)・特殊
よく使われる分類が、第一種(メジャーアスペクト)と第二種(マイナーアスペクト)そして特殊です。影響が大きいか、少ないかで分類されます。
第一種は、メジャーアスペクトとも呼び、0度☌、60度⚹、90度□、120度△、180度☍の5つあります。
角度の横の記号や読み方については以下の「アスペクトの種類:一覧表」で紹介してます。
占星術ではメジャーアスペクトがメインで使われます。
第二種は、マイナーアスペクトとも呼び、30度⚺、45度∠、135度⚼、150度⚻などがあります。
※150度⚻も第一種と考える占星術師もいます。
特殊はパラレル∥のみ。第一種も第二種も黄経上の角度ですが、パラレルは赤緯の位置関係で見ます。
※パラレルを第二種と考える占術家もいます。
ハードアスペクト・ソフトアスペクト
次に分類されるのは、ハードアスペクトとソフトアスペクトです。これは、そのアスペクトの影響力がハード(困難)なのかソフト(調和)なのかで分類しています。日本ではハード、ソフトの他に凶座相、吉座相とも言われています。
上記で紹介した第一種、第二種のアスペクトをハードアスペクトとソフトアスペクトに分けると次のようになります。
ハードアスペクトには、45度∠、90度□、135度⚼、150度⚻、180度☍があります。
ソフトアスペクトには、30度⚺、60度⚹、120度△があります。
ハードアスペクトにもソフトアスペクトにも分類できないのが、0度☌やパラレル∥です。影響度はとても強いものですが、それが良いか悪いかは関連する天体によって左右されます。
アスペクトの種類:一覧表
アスペクトには、メジャーやマイナー以外にも「その他」に分類されるものがあります。ここでは、マイナーアスペクトよりさらに珍しいアスペクトを「その他」として一覧にまとめました。※各アスペクトの意味は一例です。
まずは、最も重要とされるメジャーアスペクトの名称、記号、そしてそのアスペクトがハードかソフトかを覚えておきましょう。メジャーアスペクトを理解することが、占星術におけるアスペクト学習の第一歩です。
分類 | 角度 | 名前 | 記号 | 強弱 | H・S | 意味 |
---|---|---|---|---|---|---|
メジャー | 0 | Conjunctionコンジャンクション | ☌ | ●●●● | 混合 | 強調 |
メジャー | 60 | Sextileセクスタイル | ⚹ | ●●○○ | ソフト | 好機 |
メジャー | 90 | Squareスクエア | □ | ●●●○ | ハード | 困難 |
メジャー | 120 | Trineトライン | △ | ●●●○ | ソフト | 幸運 |
メジャー | 180 | Oppositionオポジション | ☍ | ●●●● | ハード | 対立 |
マイナー | 30 | Semi-sextileセミセクスタイル | ⚺ | ●●○○ | ソフト | 成長 |
マイナー | 45 | Semi-squareセミスクエア | ∠ | ●●○○ | ハード | 摩擦 |
マイナー | 72 | Quintileクインタイル | Q | ●●○○ | ソフト | 良 |
マイナー | 135 | Sesquiquadrateセスキクアドレート | ⚼ | ●●○○ | ハード | 混乱 |
マイナー | 144 | Bi-quintileバイクインタイル | Q2 | ●●○○ | ソフト | 調和 |
マイナー | 150 | Quincunxクインカンクス | ⚻ | ●●○○ | ハード | 再編成 |
その他 | 18 | Vigintileヴィギンタイル | ⋁ | ●○○○ | ソフト | 良 |
その他 | 24 | Quindecileクインデサイル | Ꮴ | ●○○○ | ソフト | 良 |
その他 | 36 | Decileデサイル | ⊥ | ●○○○ | ソフト | 良 |
その他 | 108 | Tredecileトレデサイル | Ɒ3 | ●○○○ | ソフト | 良 |
ホロスコープ上のアスペクトの表し方
ここまで、アスペクトの種類と分類について説明してきました。次に、アスペクトがホロスコープ上にどのように表されるのかをご紹介します。ホロスコープ上では、アスペクトは感受点同士を線で結ぶ形で示されます。一般的なホロスコープ作成ソフトでは、ソフトなアスペクトは青、ハードなアスペクトは赤といったように、色分けで視覚的に区別されることが多いです。
ただし、使用する色や線のスタイルに特定の決まりはありません。数学では90度といえば下図のような表記が一般的ですが、占星術では感受点同士を線でつなぐことで、天体の位置関係を視覚的に表現しています。
「アスペクトの記号は使用しないの?」と疑問に思われるかもしれません。確かに、以下の図のようにアスペクト記号を用いる表記方法もあります。しかし、ホロスコープには10天体が配置されるため、アスペクトをすべて記号で表すと煩雑になってしまいます。そのため、ホロスコープ上では線のみでアスペクトを示し、天体間にアスペクトがあることを視覚的に表現しています。アスペクトが少ない場合は、その分表示される線も少なくなります。
アスペクトのオーブの決め方
アスペクト(座相)にはオーブという考え方があります。例えば、太陽と月の位置がピッタリ120度になるまで、あと1度ある場合。あと1度くらいなら120度のアスペクトと考えましょう。というのがオーブ(許容範囲)です。
あと1度なら120度になるとして、あと1.2度だったら?3度はだめなのか?と、疑問が湧いてきます。実はオーブに関しては明確なルールはありません。
オーブの基本的な考え方
オーブの考え方として、いろいろ文献を読みましたが、次のような傾向にあることは分かっています。
- 天体によってオーブを決める
- アスペクトの種類によってオーブを決める
- 接近か分離かによってオーブを決める
- ネイタル、トランジット、プログレスによってオーブを決める
アスペクトを作る天体によってオーブを決める
太陽と月は占星術で重要な天体のため、この2天体についてはオーブを広くとる占星術家が多いです。例えば15度などかなり幅広いオーブを見積もっています。概ね太陽と月は8度から10度くらいのオーブが使われています。
アスペクトの種類によってオーブを決める
最も強い影響のあるアスペクトはコンジャンクションやオポジションです。この2つのオーブは10度、影響の弱いセクスタイルは6度などと、アスペクトの種類によってオーブを決めます。
天体同士が接近か分離かによってオーブを決める
時間を未来に進めていって、アスペクトのオーブが縮まっていく場合を接近、オーブが開いていく場合を分離といいます。
この、2つの天体が接近にあるのか分離にあるのかで、オーブを決めようとするものです。接近の方が影響が強いため、オーブの幅を広く設定します。
ネイタル、トランジット、プログレスによってオーブを決める
ネイタル(出生図)とトランジットやプログレス(未来予測法で使用します)では、オーブの考え方が異なるという意見があります。
ネイタルのアスペクトは変わることはありませんが、トランジットは今現在天空を運行しているため刻一刻と変わっていきます。そのため、ネイタル(出生図)とトランジットやプログレスでオーブを変えようとするものです。
結局オーブはどうしたらよいか
メジャーアスペクトはオーブ8度でマイナーアスペクトはオーブ3度など、占う人によってさまざまです。言えることはオーブを全て一律で6度にするという考え方はないということです。ある程度経験して、ちょうどよいところを自分なりに探していくしかありません。
アスペクトも奥の深い項目です。最初に述べたように、まずはさらりと全体を勉強し、再度この項目について深く勉強していきましょう。
『複合アスペクト』とは?
複合アスペクトとは3つ以上の天体がアスペクトを作りあっている状態をいいます。例えば次のようなものがあります。
グランドトライン:3つの天体が120度を作りあっている。
グランドクロス:2つのオポジションがクロスして形成される。4つの天体がかかわっています。
T字クロス:1つのオポジションに90度が加わってT字に形成される。3つの天体がかかわっています。
ヨードまたは調停:60度を作りあう2つの天体に150度のアスペクトを作る天体があり全体でYの字を作っている場合。
複合アスペクトの意味は単純ではない
複合アスペクトの解釈は、一筋縄ではいきません。例えば、「グランドトライン」は3つのトラインを含むため、一般的には「幸運のアスペクト」と考えられることがあります。しかし、このアスペクトがもたらす影響は、個人の人生観や向き合い方によって大きく異なります。つまり、「グランドトライン」があるからといって、その人が楽な人生を送れるとは限りません。アスペクトは宿命や運命を決定するものではなく、あくまで特定の傾向を示唆するものなのです。
ホロスコープにアスペクトがないとき
アスペクトのオーブを5度などタイトにすると、アスペクトを1つも作らない天体がでてきます。
ノーアスペクトの天体に、どのような意味があるかというと、一説ではその天体が意味することが発揮されにくかったり、不活発だと言われています。例えば金星がノーアスペクトだと恋愛経験が少ないなどです。
逆に、どの天体からも制御されていないためどの方向にその天体のエネルギーが向かうのか、不安定だという説もあります。多くの文献を読んだ中では、後者の不安定説の方が多かったです。
ただ、オーブをどのくらいとるかによって変わってくるので、どの状態をノーアスペクトというのかが問題です。また、サイン同士でアスペクトを見ればノーアスペクトになる天体は少なくなります。
アスペクトの調べ方
アスペクトを調べるには、手動で計算するよりもオンラインの無料作成ツールや、ホロスコープ作成ソフトを利用した方が手っ取り早いです。次の講座の「占星術講座6:ホロスコープの作成方法」で無料のオンラインツールと使い方を紹介していますので参考にしてください。
以上で、西洋占星術におけるアスペクトに関する重要な学習項目の解説を終わります。アスペクトについてさらに学習したいトピックスを下記の『深堀学習』で紹介しています。一通り講座を学習したのちにご一読ください。
『少しだけお時間をいただけますか?この講座についてのご感想をお聞かせください。分かりにくかった点や、特に理解が深まったと感じた点など、学習の感想をぜひコンタクトフォームからお寄せください。』
こちらからお願いします:コンタクトフォーム
最後に、アスペクトについてさらに学びたい方のために、アスペクトが中心に書かれた書籍を紹介します。こちらのページでご覧ください:
深堀学習:アスペクトをもっと知るための学習
ここからはすぐに必要な知識ではないけれど、いずれ学習するとのちのちに役に立つ事柄を紹介しています。最後のレッスン終了後また、このページに戻って一読してみてください。
サイン同士のアスペクト
サイン同士のアスペクトとは、天体が位置する星座同士の関係をもとにアスペクトを判断する方法です。
例えば、牡羊座の太陽と獅子座の月の場合、120度のトラインを形成します。たとえ太陽が牡羊座の5度で、月が獅子座の20度であっても、トラインとなります。
うろ覚えですが、インド占星術もサイン同士のアスペクトを取り入れていると思います。また、雑誌やテレビの星占いもこの方法でアスペクトを算出し、占いを行っています。
アスペクトの矛盾
サイン同士のアスペクトとオーブを使用したアスペクトの間には矛盾が生じることがあります。
例えば、一方が牡羊座で他方が蟹座の場合、サイン同士では90度のスクエアを形成します。しかし、牡羊座の1度と蟹座の29度の場合、オーブが2度であれば120度のトラインになります。
スクエアとトラインでは解釈がまったく異なります。ある文献では、オーブ付きのアスペクトとサイン同士のアスペクトが一致する場合のみを採用することを提案しています。最終的には、どちらの占いがより当たっているかを基に、サイン同士かオーブかを選ぶしかないでしょう。