占星術の勉強9:ホロスコープの解読
ホロスコープの解読手順
これまでの占星術講座では、ホロスコープの作成方法や基礎知識を学んできました。このレッスンでは、実際にホロスコープを解読する手順について解説します。
ホロスコープにはその人の様々な側面が表されていますが、初めて解読を試みるときは「どこから読めばよいのか?」と迷う方も多いはずです。今回は、解読の流れを初心者でも取り組みやすいステップでご案内し、全体から細部へと段階的にホロスコープを読み取る方法を身につけます。
全体の特徴を捉える:サイン区分・ハウス区分
まずはサイン(星座)とハウスの配置に注目し、ホロスコープ全体の傾向を見ていきます。下のような表に書き込んでいくと分かりやすいです。
例として、次のホロスコープを使って表に書き込んでいきます。書き込むのは10天体です。(とても有名な人物のホロスコープです。誰でしょう?最後のレッスンでご紹介してます。)
10天体を書き込んでいくと次の表になります。
この表を基にホロスコープから全体の特徴を捉えます。
サイン区分を見る
12星座のサインを、2区分・3区分・4区分の視点から捉えます。以下のポイントで分析します。
- 2区分(+・-)
+サインが多い:「外向的で積極的」
-サインが多い:「内向的で受動的」 - 3区分(活動・不動・柔軟)
活動が多い「行動的で物事が進展しやすいが自己主張が強い」傾向
不動が多い「安定感があり忍耐強いが、なかなか行動に移さない」傾向
柔軟が多い「臨機応変で柔軟に行動するが、迷いやすく持続性に欠ける」傾向 - 4区分(火・地・風・水):
火が多い「情熱重視」の傾向
地が多い「物質重視」の傾向
風が多い「知性重視」の傾向
水が多い「感情重視」の傾向
ハウス区分を見る
次に、10天体が12ハウスにどのように配置されているかを見て、偏りがないか確認します。
- アンギュラーに多い:「個性が強く活動的」
- サクシーデントに多い:「安定的で持続性がある」
- キャデントに多い:「柔軟で学びや変化を通じて成長」
- ホロスコープ上に多い:「客観的で向上心が強い」
- ホロスコープ下に多い:「主観的で内向性が強い」
- 東側に多い:「自分の力で道を切り開く傾向」
- 西側に多い:「他者の影響を受けやすい傾向」
サイン区分とハウス区分まとめ
サイン区分とハウス区分をまとめて読むときは「かたより」がある区分から読み解いていきます。「かたより」がこの人物の特徴であるためです。
例題で最も「かたより」があるのが、ハウス分布の「キャデントハウス」です。
また、天体が少ない区分も特徴の一つになります。例題では、サインの4区分で「火」のエレメントに1つだけ天体があり、水のサインが多めです。
この2点から「状況に合わせて柔軟に適応し、サポート的な役割や知識の習得・応用に優れている。そして、他者の感情や考えに敏感で自己主張はやや控えめ。」というような、ホロスコープの人物像の概要を掴むことができました。
ホロスコープ中で天体が集中しているハウス
最後にホロスコープ中で天体が集中しているハウスがないか確認します。もし3つ以上の天体が在室しているハウスがあればそのハウスが示す事柄がその人にとって重要だということを暗示しています。
重要な感受点を見る:太陽・月・ASC・MC
ホロスコープ解読の基本として、太陽・月・ASC・MCという4つの重要な感受点を確認します。この4つが示す特徴が、個人の根本的な傾向を表します。出生時間が不明の場合は太陽のみ解読することになります。ある程度月の位置が分かる場合(何時ごろか分かっていて、月の位置がカスプ付近でない場合のみ)は月も解読します。
太陽の星座・ハウス・アスペクトの読み方
太陽がどの星座にあり、どのハウスに配置されているかでその人の性格や自己実現の方法が示されます。また、アスペクトによって性格や運勢の傾向も変わります。例題のアスペクトは次のようになっています。これを使って解説していきます。
例題の太陽は、蟹座で5ハウスにいます。そして、太陽のアスペクトは土星とのトライン、海王星とのオポジション、そしてオーブが10度近くありますが、木星ともトラインを形成(表にはありません)し、土星も含めたグランドトラインがあります。次のように読み替えてみます。
- 「太陽」「この人物(自己)」は、
- 「5ハウス」「創造性や自己表現、恋愛、楽しみ」に関する事柄に対して
- 「蟹座」「積極的で感情的」な性質を示します。
- 「土星とのトライン」5ハウスの事柄に関して慎重で責任感があり、忍耐強く取り組む傾向があります。
- 「木星とのトライン」5ハウスの事柄に関して楽観的で発展的なアプローチを取り、機会や幸運を引き寄せやすい性質が強調されます。
- 「海王星とのオポジション」5ハウスの事柄に関して理想や夢に対する憧れと現実の間で葛藤を感じやすい側面があるかもしれません。
以上をまとめると次のようになります。
この人物は、クリエイティブな活動や自己表現に対する情熱があり、楽しみや喜びを大切にする性格です。また、規律や忍耐力を備え、着実に物事に取り組む姿勢を示し、拡大と成長の循環が生まれやすく、恵まれた環境や機会を掴みやすいでしょう。一方、夢や理想に対する強い憧れと共に、現実とのギャップに悩むこともあります。しかし、理想を実現するために現実的な調整を行い、成長し続ける力があるといえます。この人物は自己表現を通して成長を追求し、理想に向かって努力を惜しまず、豊かな人生を築く力を持っています。
月の星座・ハウス・アスペクトの読み方
月はその人の感情や感受性を示し、どのハウスにいるかで日常生活や安心感を得る方法が分かります。アスペクトは感情面での安定性や変動を表します。
例題の月は、双子座で3ハウスにいます。そして、月のアスペクトは火星とタイトな合、土星とのスクエア、そして冥王星とのオポジションがあります。オーブが10度前後ありますが月は土星と冥王星のTスクエアを形成しています。太陽と同様に読み解いてみましょう。
月が示す「この人物の感情」は、どんな性質(星座)で、どこ(ハウス)で表わされるのでしょうか?そしてどんな傾向(アスペクト)にあるのでしょうか?
この人物の感情は、(双子座のため)柔軟で適応性があり、知的な方法で感情表現を得意とする性質があります。(3ハウスにいるため)知的好奇心が旺盛で、コミュニケーションにおいて(火星の合があるため)強い緊張とエネルギーが集中しやすく、情報やアイデアを発信することを通じて感情的な満足を得るタイプです。しかし(凶のアスペクト)同時に緊張や葛藤も多く経験しやすいでしょう。各アスペクトは次のような意味になります。
- 火星とのタイトな合:感情表現が強く、感情の起伏が激しくなる傾向があります。
- 土星とのスクエア:感情を抑えたり慎重になる傾向があります。
- 冥王星とのオポジション:繊細な感情の強さと変容が求められやすい傾向にあります。
ASCの星座・支配星のハウス・アスペクトの読み方
ASCの星座は外見や第一印象に影響し、ASCのアスペクトがその傾向を示します。ASCの支配星が入るハウスは、「他者から見た特徴」が表れやすい具体的な領域を表し、支配星のアスペクトが傾向を示します。
例題のASCのサインは「水瓶座」で、金星とオポジション、冥王星とスクエアで、Tスクエアが形成されています。支配星の天王星は12ハウスにて、冥王星とセクスタイル、海王星と合を作っています。
- ASCの星座
この人物の外見や第一印象は「水瓶座」で、他者には独立心が強く自由で個性的な人として映ります。
- 金星のオポジション
他者から見た印象と本当の自分を見せることに慎重になる傾向があります。
- 冥王星とのスクエア
他者から見た外見や第一印象と内面との間に緊張やギャップが生まれやすく、表面的な印象に合わせて内面的に成長や変化を遂げる傾向があります。
- 支配星が12ハウス
12ハウスは、社会から見えない場所を示します。例えば、書籍ではよく病院や刑務所などと説明がありますが、インターネットや現実ではない世界であるテレビもその一つです。この人物が「独立心が強く自由で個性的な人として映る」場所がインターネットやテレビの中の世界で、人々からは手の届かない存在として見えるのかもしれません。
- 支配星が冥王星とセクスタイル
冥王星が示すカリスマ性が現れる傾向があります。「インターネットやテレビ」を通して人々からは、カリスマ性を感じられる人物だと映ります。
- 支配星が海王星と合
海王星が示す「夢や理想」が強調される傾向があります。「インターネットやテレビ」を通して人々からは「現実を越えた夢や理想を持つ」人物だと映ります。
MCの星座・支配星のハウス・アスペクトの読み方
MCは社会的地位やキャリア、または人生の目標や公の場での姿を示すポイントであり、「社会的視点から見たその人」を象徴します。MCは自分が公にどのように見られ、またはどのように認識されやすいかに関わり、仕事や社会的役割の中でのその人のあり方が見えてきます。
MCの星座はその人の公的なイメージがどのよなものかを表し、MCのアスペクトがその傾向を示します。MCの支配星が入るハウスは、「社会的役割」や「公的な活動」が「どの領域を通して表れるのか」具体的な領域を表し、支配星のアスペクトが傾向を表します。
例題のMCのサインは「射手座」で、月と火星とはオポジション、そして土星とオーブの広いスクエアを作っています。MCの支配星・木星は8ハウスにいます。木星は、水星とオーブが約5度トライン、土星とオーブが約8度のトラインで、グランドトラインが形成されています。(土星とはオーブが広いですが、接近しているためここではアスペクトを作っていると判断してます。占術者によって意見が分かれるポイントです。)
- MCの星座
この人物の公的なイメージは「射手座」のため、積極的(2区分)で、臨機応変な行動力があり(3区分)、そして情熱的(4区分)であると社会から見られています。
- 月とオポジション
社会から見えるイメージと自身の感情が一致しにくい傾向があります。例えば、社会的には射手座が表すエネルギッシュで情熱的な印象を与えつつも、内面では感情的な不安や満たされない気持ちが強まることがあります。
- 火星とオポジション
社会から見えるイメージと自身の情熱や行動が一致しにくい傾向があります。例えば社会的な役割に対して積極的に挑む姿勢や行動力があるものの、それが葛藤や対立を生む可能性があります。
- 土星とスクエア
社会的役割において慎重さや現実的なプレッシャーを感じやすい傾向があります。努力と時間をかけて成果を積み重ねていく必要があると示唆しています。
- 支配星が8ハウス
8ハウスは、「他者の資産」を表します。この人物の公的な活動は「他者の資産」を通じて現れます。他者の資源を活用したプロジェクトなどが社会的活動の場となりやすいでしょう。良好なアスペクトがあることからこの社会的活動には他者のサポートや援助を受け発展と成功へと向かいます。
- 支配星が水星とトライン
うまく情報をキャッチし対応することができる傾向があります。
- 支配星が土星とトライン
責任感と安定性があり、他者からの信頼を得られやすい傾向にあります。
- 支配星・水星・土星のグランドトライン
この人物の社会的役割や仕事において調和と安定感が生まれ、成功へと向かいやすい傾向にあります。
パーソナル天体を見る:水星・金星・火星
パーソナル天体(水星、金星、火星)は、個人の性格や行動パターンに深く影響を与えます。これらの天体についても、サイン、ハウス、アスペクトを次のように読み解いていきます。
- 水星
この人物は『双子座』のような「知性」を持ち、その傾向はアスペクトの『木星のトライン』で表されます。そしてこのような「知性」が発揮される具体的な領域は『4ハウス』です。
- 金星
この人物は『獅子座」のような「愛情」を持ち、その傾向はアスペクトの『冥王星のスクエア』で表されます。そしてこのような「愛情」が発揮される具体的な領域は『7ハウス』です。(※火星とはオーブが6度以上あるため省きます)
- 火星
この人物は『双子座』のような「情熱」を持ち、その傾向はアスペクトの『月の合』で表されます。そしてこのような「情熱」が発揮される具体的な領域は『3ハウス』です。
上記の『』内に言葉を埋めて文を作ってみてください。
外天体が入るハウスの解読ポイント
続いて、外天体が入るハウスの解読ポイントを紹介します。
外天体が暗示する事柄
- 木星がいるハウス:発展と拡大する事柄
- 土星がいるハウス:努力や忍耐が必要な事柄
- 天王星がいるハウス:自由を求める事柄
- 海王星がいるハウス:夢や理想をもつ事柄
- 冥王星がいるハウス:大きな変化のある事柄
木星について例を挙げると、木星のいるハウスは発展と拡大する事柄を表します。そして木星の星座はどのように発展・拡大するのか示し、アスペクトはその傾向を暗示します。
終わりに:ホロスコープの解読の次のステップへ
ホロスコープの解読は非常に奥が深く、ここで挙げた解読手順は一例にすぎません。多くの要素が複雑に絡み合うため、独自の視点や経験も大切です。慣れないうちは一つずつ確認していき、経験を積んでいくことで、より的確な解読ができるようになるでしょう。
これまで学んできた占星術の基礎やホロスコープ解読をもとに、次の講座で最終レッスンである「未来予測」を学びます。未来予測では、これからの人生にどのような影響や変化が訪れるかを読み解いていきます。このレッスンは、占星術の基礎から実践へとつながる懸け橋となる学習項目です。
『深堀学習』:ホロスコープの解読をさらに深めます
ミューチュアルレセプション
ミューチュアル・レセプションとは、2つの天体がお互いの支配星座に位置している状態を指します。この配置が意味するのは、お互いの惑星が「助け合う」ような関係にあるということです。
例えば、金星が牡羊座、火星が天秤座の場合、金星と火星がそれぞれの支配星座に入っているため、ミューチュアル・レセプションが成立します。この2つの天体は「互いに協力し合う」関係にありますす。
具体的な解釈
金星が牡羊座、火星が天秤座の場合、積極的な「愛情」とバランスの取れた「行動力」が調和して働きます。もし金星が牡羊座(2ハウス)、火星が天秤座(7ハウス)にある場合、対人関係では、バランスの取れた行動力に積極性が加わり、収入に関しては、積極的な価値観にバランス感覚が生まれます。