占星術講座7:ホロスコープの感受点

占星術講座7では、ホロスコープ上の感受点やその重要性について詳しく解説します。感受点は、ホロスコープを読み解く際の鍵となる要素で、これを理解することで個人の特性や運命をより深く洞察できるようになります。講座6で作成したホロスコープを参照しながら学習を進めていきましょう。

ホロスコープの感受点とは?

感受点(カンジュテン)は、ホロスコープ上で特に重要な意味を持つポイントを指します。占星点とも呼ばれ、太陽や月を含む主要な天体や、特定の小惑星、さらにアセンダント(ASC)、天頂点(MC)、月のノード、パートオブフォーチューンなども含まれます。これらのポイントは、その人の性格、対人関係、社会的役割、そしてスピリチュアルな目的を示す手がかりとなります。

代表的な感受点とその解釈

占星術の学習でよく使われる代表的な感受点をご紹介します。次の感受点はホロスコープの基礎として学ぶべき重要なポイントです。

尚、次の2つの感受点も重要なポイントとして注目されています。これらはホロスコープの解読の初歩の段階では利用されないため、当講座を一通り学習したのちに一読してください。

上昇点:アセンダント(ASC)

上昇点は、その人が誕生した瞬間に東の地平線上に位置していた黄道の地点です。アセンダントや、ASCとも呼ばれます。

アセンダントは4分で1度移動し、1日で一周します。誕生時間によって個人ごとに異なり、その人の外見や基本的な性格、持って生まれた環境を示す重要な指標とされています。

下降点:デセンダント(DES)

デセンダントはアセンダントと対極に位置し、主に他者との関係を示します。

天頂点:MC

天頂点(MC)は、誕生時の子午線が黄道と交わる点で、社会的な成功や人生の目標、職業的な達成を象徴します。MCは、アセンダントと並ぶ重要な感受点で、英語では「Medium Coeli(ミディウム・コエリ)」の略で、しばしば「ミッドヘブン」とも呼ばれます。

天底点:IC

また、MCの180度対極には「IC(天底点)」があり、家庭環境や内面のルーツを表します。

ASC・DEC・MC・ICの関係図

ASC・DEC・MC・ICの位置をホロスコープに表すと次のようになります。

ホロスコープの中央を水平に通る茶色の線が地平線です。東側にあるのが、ASC、西にあるのがDECです。太陽が東の地平線に現れれば”日の出”、西の地平線にくれば”日没”です。

実際のホロスコープでASCとMCを見つけてみましょう。

MC付近に太陽がいるのを確認できますか?このホロスコープは昼の12時に作ったので、太陽が一番高い天頂にいます。

軸(アングル)

ホロスコープではある人が誕生した時のASC・DEC・MC・ICをこのように表し、ASC・DECを結んだ線とMC・ICを結んだ線を軸(またはアングル)と呼んで重要なポイントとして重視しています。

ASC(アセンダント)、DEC(デセンダント)、MC(天頂点)、IC(天底点)の各ポイントは、その人の人格、対人関係、社会的役割、内面的な基盤などを示唆する要素として、ホロスコープの解釈において重要視されます。特に、これらのポイントに天体が近い場合、個人の性格や運命に強い影響を与えるとされています。

上昇星

アセンダントの近くに配置された天体は「上昇星」と呼ばれ、特に強い影響をもたらすとされています。上記のホロスコープの場合、ASCに最も近いのが土星です。ASCとは10度ほど離れていて、これを上昇星として注目するかどうかは占術者次第です。ASCの場合、概ねASCの5度前後にある天体が重要視されます。

カルミネートする天体

カルミネートする天体とは、MC付近に配置された天体を指し、その人の天職や社会的な役割を示します。上のホロスコープの場合、MCに最も近いのが水星です。もしMC付近に天体がない場合は、MCに最も近い天体をカルミネート天体として注目します。

統計学的根拠

ASC(アセンダント)、DEC(デセンダント)、MC(天頂点)、IC(天底点)の重要性は統計学的にも証明されています。

フランスの心理学者ミシェル・ゴークラン博士は、4万人以上のホロスコープを調査し、アセンダントや天頂点(MC)付近の天体が職業と関連していることを統計的に示しました。たとえば、アスリートには火星がアセンダントやMCの近くにあることが多かったということです。

まとめ:ホロスコープの感受点

ここまでで、占星術で重要とされる4つの感受点について学びました。まずは名称と基本的な意味をしっかり覚え、基礎を固めることが大切です。この基礎が、ホロスコープ全体の解釈を進める上での柱となります。それでは、次の講座「ホロスコープの12のハウス」でさらに知識を深めていきましょう。

占星術講座8:ホロスコープの12のハウス

ホロスコープのハウスとは? 占星術においてホロスコープのハウスとは、個人の人生を12の異なる側面に分 ...

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重要な次の2つの感受点についても、後ほど学習してください。

また、感受点が実際にどのように使われているのかについては、ぜひ下部の「深堀学習」を参考にしてください。より具体的な解釈の方法や、実際のホロスコープリーディングでの活用法について詳しく学ぶことができ、理解が一層深まるはずです。

月のノード:ドラゴンヘッド&テール

月のノードは、月の軌道と太陽の通り道である黄道が交わるポイントです。月のノードには「ドラゴンヘッド(昇交点)」と「ドラゴンテイル(降交点)」があり、これらは前世や現世のカルマに関連していると考えられます。ドラゴンヘッドは「ノースノード」、ドラゴンテイルは「サウスノード」とも呼ばれています。

月のノード
  • ドラゴンヘッド
    前世で積んだ善行や、現世で得られる恩恵を示します。
  • ドラゴンテイル
    前世の未解決の課題や、この世で克服すべき課題を象徴します。

月のノードとその位置関係

月のノードには「ドラゴンヘッド(昇交点)」と「ドラゴンテイル(降交点)」の2つの点があり、下の図のようにホロスコープでは常に180度の位置関係を保っています。ドラゴンヘッドとドラゴンテイルは互いに真反対に位置し、セットで読み解かれることが特徴です。

作成したホロスコープでは次の図のように、ドラゴンヘッドが水色で囲んだ記号で表されています。ドラゴンテイルは対極に位置するため、通常ホロスコープ上に表されることはありません。

また、月のノードは他の感受点や天体と異なり、「逆行」する特徴を持っています。これは、通常の動きとは逆の方向に少しずつ進むことを意味し、ゆっくりとホロスコープ上を逆時計回りに移動しています。この後退運動により、ノードの位置は時の経過とともに変わり、その人の人生での学びや課題を象徴するとされています。

月のノードの意義と応用

月のノード(ドラゴンヘッドとドラゴンテイル)は、占星術の学習を進め、カルマや前世のテーマを探究したい場合に重要なポイントです。基礎レベルではあまり取り扱われない感受点ですが、人生の目的や宿命的な課題に目を向けるときに欠かせない要素です。

そのため、基礎を終えた後に、より深い自己理解やスピリチュアルなテーマに踏み込んで研究したい場合に、月のノードは大変重要な感受点になるでしょう。

パートオブフォーチューン(POF)

パートオブフォーチューン(POF)は、アラビア占星学で発展した感受点で、幸運や成功をもたらすとされるポイントです。

POFの計算の仕方

作成したホロスコープ上にPOFは表示されませんので、手動で計算します。POFはアセンダント、月、太陽の位置から計算されます。

POFの計算方法
  • 昼生まれ
    「POF=ASC+月-太陽」
  • 夜生まれ
    「POF=ASC+太陽-月」

作成したホロスコープ画面の下の方に、各天体の位置が表示されています。この位置情報からPOFを計算します。赤いアンダーラインが計算に必要な天体位置です。

数字は60進数のため一旦10進数に変換して計算する方法を紹介します。

  • ASC:Pisces(魚座)7度12分42秒
    (魚座)330度+7度+(12分÷60)+(42秒÷3600)=337.21度
  • 月:Sagittariu(射手座)7度48分26秒
    (射手座)240度+7度+(48分÷60)+(26秒÷3600)=247.80度
  • 太陽:Sagittariu(射手座)9度24分25秒
    (射手座)240度+9度+(24分÷60)+(25秒÷3600)=249.40度
  • POF=ASC+月-太陽
    337.21度+247.80度-249.40度=335.6=魚座5.61度(10進数表記)

POFは、魚座5.61度でASC近くに位置することが計算結果から分かります。

アラビックパートには他にも多くの種類があり、詳細な解読には生まれた時間と場所のデータが必要です。

『深堀学習』感受点の活用

代表的な感受点についてさらに理解を深めるために実践的な使い方を以下にご紹介します。

ASC(アセンダント)とDEC(デセンダント)

ASC(アセンダント)とDEC(デセンダント)は、ホロスコープの実践において個人の「外見」や「対人関係」を知るための大切なポイントです。特に、ASCの位置する星座(サイン)や、ASC・DECにアスペクトをとる天体によって、次のような情報を読み解くことができます。

ASC(アセンダント)の実践的な使い方

ASCが位置する星座は、外見や雰囲気、第一印象、周囲からどのように見られるかを表しています。また、ASCとアスペクトを形成する天体は、その人の本質的な個性に影響を与えるため、重要な解釈ポイントとなります。

例えば、ASCが火の星座(牡羊座・獅子座・射手座)であれば、エネルギッシュで前向きな印象を与えることが多くなります。もし火星がASCとアスペクトをとる場合、その人はさらに活動的で率直な性格が強調されるでしょう。

DEC(デセンダント)の実践的な使い方

DECは対人関係やパートナーシップ、他者に求めるものを示す感受点です。DECが位置する星座は、結婚相手や親しい関係での相手にどのような特性を求めるかを象徴しています。

例えば、DECが天秤座であれば、パートナーシップに調和や美意識を求める傾向が強いと解釈できます。また、DECにアスペクトをとる天体がある場合、対人関係における価値観や課題が浮き彫りになります。土星がDECにアスペクトをとる場合、相手に対して責任感や真面目さを求める傾向が強くなるかもしれません。

このように、ASCとDECは、自己表現のあり方や他者に対する姿勢をより具体的に知るための指針となります。これらをもとに、より深い人間関係の理解や自己イメージの発見に役立てることができます。

MC(天頂点)とIC(天底点)

MC(天頂点)とIC(天底点)は、ホロスコープの中心軸であり、特に「社会的な役割」や「家族・プライベート」に関連する重要なポイントです。実践では、これらの感受点がどの星座にあり、どのようなアスペクトを形成しているかを通して、以下のような情報を読み解くことができます。

MC(天頂点)の実践的な使い方

MCは、ホロスコープの上部に位置し、「キャリア」「社会的目標」「名声」など、社会から見える状態を象徴します。MCが位置する星座によって、その人がどのような社会的役割を目指すのか、あるいは周囲からどのように評価されやすいのかがわかります。例えば、

  • MCが獅子座にある場合、自らが目立つポジションに立ちやすく、リーダーシップや創造性を重視するキャリアが向いていると考えられます。
  • MCが乙女座であれば、実務能力や奉仕精神が求められる役割で能力を発揮するでしょう。

MCが他の天体とアスペクトを形成している場合、その影響はさらに個人の社会的な姿勢に強く表れます。例えば、MCに木星が強いアスペクトを形成していれば、社会的に幸運なチャンスが巡りやすく、名誉や成功を得やすい傾向があると考えられます。

IC(天底点)の実践的な使い方

ICは、ホロスコープの下部に位置し、「家族」「ルーツ」「心の安定」など、私的な領域や幼少期の環境に関する情報を示します。ICが位置する星座によって、その人が家庭やプライベートで求める安心感のタイプや、家族との関係性を知ることができます。例えば、

  • ICが蟹座にある場合、家族や故郷への愛情が深く、温かい家庭環境を求める傾向があります。
  • ICが山羊座の場合、責任感や伝統を重んじる家庭環境が重要であり、家庭内で役割を果たすことが心の安定に繋がることが多いです。

また、ICが他の天体とアスペクトを形成する場合、特に幼少期の経験や家族の影響が強く表れるとされます。例えば、ICに土星が関わっている場合、幼少期に厳格な環境で育ったり、早い段階からの責任感を課せられた可能性があります。

ASC、DEC、MC、ICに関する本

ASC、DEC、MC、ICは重要な感受点のため、占星術を学べる「基本の本」に多く紹介されています。以下のページにまとめましたので、参考にどうぞ。

西洋占星術を独学するための基本書ガイド

当ページでは西洋占星術の勉強をするための基本的な項目が中心となっている書籍を紹介しています。当サイト ...

月のノードの実践的な使い方

月のノードの解釈において、ドラゴンヘッド(昇交点)とドラゴンテイル(降交点)はそれぞれ特定の意味合いを持ち、人生のテーマや課題を表します。

ドラゴンヘッドは成長や発展を促すポイントであり、その影響は木星や金星のように前向きで希望に満ちたものとされています。

一方、サウスノードは土星や火星に似た意味合いを持ち、克服すべき課題や義務、過去から引き継いだ特性を示します。

月のノードはゆっくりと移動し、同じ星座やハウスに長く留まるため、星座よりもハウスとアスペクトを重視して解釈します。以下に、月のノードを実践でどう解釈するかについて紹介します。

ドラゴンヘッドと発展のテーマ

ドラゴンヘッドは木星や金星のように、人生においてポジティブな可能性を示す方向です。ドラゴンヘッドが位置するハウスは、そのハウスが示す事柄に向かって努力することで新しい可能性を開花させることができます。

例えば、ドラゴンヘッドが5ハウス(創造性や自己表現のハウス)にある場合、自己表現や創造的な活動を通して成長し、自己実現を目指すことが人生を発展させるテーマとなります。

ドラゴンテイルと克服のテーマ

ドラゴンテイルが位置するハウスは、私たちがすでに経験してきた領域や、慣れ親しんだ特性を表していますが、同時に乗り越えなければならない課題が隠れています。

例えば、ドラゴンテイルが2ハウス(所有や物質のハウス)にある場合、物質的な執着や自己価値に関する過去の習慣が課題として表れることが多いです。このような配置では、物質的なものへの執着から解放され、他者との協調や精神的な豊かさに向かうことが求められます。

また、ドラゴンテイルは土星や火星のような特質を暗示しており、ここに置かれたハウスのテーマは義務感や制約が強く働きやすいとされています。このハウスにおいては、しばしば重い課題があり、それに対する意識的な取り組みと克服が必要とされます。

ドラゴンヘッドとテイルの実践的解釈

ドラゴンヘッドとドラゴンテイルの役割を実践において解釈する際は、この2点が対極にあることを踏まえ、ドラゴンヘッドが示す成長と可能性の方向性とドラゴンテイルが示す過去の慣れや克服すべき課題を、バランスよく見ていくことが大切です。

月のノードについて書かれた本

詳しくは下記の本が参考になります。

詳解 月の正統西洋占星術/神谷 充彦 (著)

Amazon(PR):詳解 月の正統西洋占星術神谷 充彦 (著)2009年

『詳解 月の正統西洋占星術』には、各ハウスのドラゴンヘッドの説明と、ドラゴンヘッドとドラゴンテイルの読み解き方のシンプルなルール、各サインにある先行日蝕と先行月蝕の説明と、その読み方が説明されています。

パート・オブ・フォーチューン(POF)の実践的な使い方

パート・オブ・フォーチューン(POF)は、ノースノードのような霊的な学びや成長ではなく、現実的・物質的な幸運を象徴する感受点です。

具体的には、日常生活での豊かさやチャンスに関わり、物質的な面での喜びや満足感を表します。そのため、POFは古くから実際の幸運のタイミングや経済的なチャンスの指標として活用されてきました。

例えば、ある占星術家はギャンブルや投資において「運がつく」時期を予測するためにPOFを用いており、特定のトランジットがPOFに良い角度をとるときをチャンスと見なしていました。

当講座の後半には「未来予測の講座」があります。そこで、トランジットについて解説しています。学習が進んだ後にトランジットのPOFについて研究してみてください。

また、POFの他にも、さまざまな「アラビック・パート(アラビアンパート)」と呼ばれる感受点があります。これらのアラビックパートは、人生の異なる側面に関連しており、例えば健康や恋愛、財運など、特定のテーマにフォーカスすることができます。こうしたパートを活用することで、さらに詳細なホロスコープの分析が可能となり、実践の幅が広がります。

アラビックパートが書かれた本を以下に紹介します。より詳しく解説している本を参考にして、独学での学びを深めてみるのも良いでしょう。

新版 Stargazerで体験するパソコン占星学

Amazon(PR):新版 Stargazerで体験するパソコン占星学小曽根 秋男 (著)2006年

書籍中では約30のアラビックパートを紹介しています。ソフトでは約20のアラビックパートを計算して表形式に表示してくれます。例題や詳細な説明はなく、例えば結婚のパートの計算式が書かれています。

真実の占星学/橋本 航征 (著)

Amazon(PR):真実の占星学橋本 航征 (著)2012年

『真実の占星学』には次のアラビックパートについて解説されています。

  • 約55のアラビックパートの計算式が紹介されています。
  • POFが各ハウスに在室する意味が解説されています。
  • アラビックパートの一つである「宿命位」について、例題とともに各ハウスに入った時の意味が紹介されています。

著者によれば、「POFは物質的幸運のありかではないと」とのことで、占星術家によって意見が分かれるところです。

詳細はこちら
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Bonatti on Lots/Guido Bonatti (著)

Amazon(PR):Bonatti on LotsGuido Bonatti (著), Benjamin N Dykes (翻訳)2010年出版

『Bonatti on Lots』は、中世の占星術師グイド・ボナティがアラビック・パーツに関する専門書としてまとめ上げた作品です。この本では、アラビック・パーツの概念が詳述されており、当時の戦争や政治、王族の結婚など、さまざまな場面で活用された具体的な事例が紹介されています。中世の古典占星術を学ぶことができ、アラビック・パーツの実践的な使用法を理解する手助けとなります。将来アラビック・パーツを本格的に学習したい方にお勧めします。

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