占星術講座8:ホロスコープの12のハウス
ホロスコープのハウスとは?
占星術においてホロスコープのハウスとは、個人の人生を12の異なる側面に分け、具体的な事柄やテーマを扱う重要な要素です。各ハウスには特定の意味があり、ホロスコープ内のどのハウスにどの天体が配置されるかによって、その解釈が変わります。このページでは、占星術のハウスについて詳しく学ぶことで、占星術の解釈がより深まり、あなた自身のホロスコープを理解する手助けとなることを目指します。

- ホロスコープのハウス:基本的な考え方
- 1ハウスと7ハウスの意味
- 2ハウスと8ハウスの意味
- 3ハウスと9ハウスの意味
- 4ハウスと10ハウスの意味
- 5ハウスと11ハウスの意味
- 6ハウスと12ハウスの意味
- まとめ:ハウスの意味一覧
ホロスコープのハウス:基本的な考え方
ホロスコープのハウスは下の図のように全部で12あります。左側の1ハウスから始まり12ハウスまで順番に並んでいます。各ハウスには特定の意味が割り当てられています。ここでは個々のハウスの意味を説明する前に、ハウスのテーマをさらに深く理解するための基本的な考え方について紹介していきます。

各ハウスのテーマはホロスコープの上と下で、個人と社会という大きなくくりで分けられています。

個人の世界では、その人がたやすく手に入れられたり、コントロールできたり、簡単に手が届く事柄を扱っています。反対に、社会的な世界では、コントロールが困難であったり、簡単には手に届かない事柄を扱っています。
個人の世界を表す1から6ハウスでは、個人が成長する上で必要な事柄が示され、各事柄は社会的な世界と密接に関わっています。

つまりハウスは、真向いのハウスのテーマを補完する役割があります。例えば下のイラストのように1ハウスと7ハウスは互いにテーマを補完し合います。

1ハウスのテーマを考える時は、7ハウスのテーマも見ることで理解を深めることができます。以下の「各ハウスの意味」では、真向いのハウスのテーマと比較しながら説明をしています。
ハウスとサイン・天体の関係
下の図のように各ハウスには、それぞれ12のサインが対応し、さらにサインのルーラーが関係しています。例えば1ハウスは牡羊座とそのルーラーである火星がテーマに関係します。

このようなハウスとサイン、天体の関連から、各ハウスにはサインと天体からイメージする事柄が割り当てられています。ここで、ハウスのテーマは、サインや天体が表す事柄と同じではないことに注意してください。ハウスを学ぶ前にサイン、天体の役割について整理しておきましょう。サインは、イメージを表し、天体は個人の内面を表します。ハウスは具体的な事柄を表します。
以下に、上記で説明したハウスの基本的な考え方を元に、各ハウスの意味を説明していきます。ハウスが示す具体的な事柄やキーワードを覚えるのではなく、なぜそのような意味がハウスに割り当てられているのか理解していきましょう。
1ハウスと7ハウスの意味
1ハウスの基本的な意味
キーワード:自己
1ハウスが表すのは自己です。自分自身の存在や、外見がそのテーマになってます。自分がどのように世界に現れるか、どんな印象を与えるか、自分で自分をコントロールしやすい事柄がテーマです。例えば、服装、話し方、振る舞いなど、意識的に選べるもので、「外見」、「第一印象」として表されます。
自己を表す太陽との違い
1ハウスは、その人の外見や、他者が最初に受け取る印象を示します。「自分をどう見せるか」「どのように行動するか」という外側の特徴が強調されます。
一方で太陽は、その人自身の本質や性格を象徴します。これは、内面的な自分らしさを示し、「自分は何者でありたいか」という意識に焦点を当てています。
7ハウスの基本的な意味
キーワード:他者
1ハウスが自分自身(外見、第一印象)を表すのに対して、7ハウスは自分とは異なる視点や特質を持つ他者、つまり「自分に欠けているものを補完する存在」を表します。ここでの「他者」は単なる「他人」ではなく、深く関わり、影響を与え合う重要な人物として捉えられます。具体的には次のような意味があります:
- 配偶者や恋愛パートナー
自分自身の欠けた部分を補完してくれる存在 - ビジネスパートナーや契約関係
自分ひとりでは成し得ないことを可能にするための協力関係や相互の利益を求める相手 - 対立者やライバル
補完関係だけでなく、自己に挑戦を与え成長を促す存在となる相手
7ハウスが示すのは、「単なる外部の人」ではなく、自分自身の欠けた部分を補完してくれる存在や、それを気づかせてくれる相手です。そのため、配偶者やパートナー、深い協力関係を築く人物が7ハウスのテーマとなります。このような他者を通じて、自己理解や成長が促されるのが7ハウスの重要な役割です。
2ハウスと8ハウスの意味
2ハウスの基本的な意味
キーワード:所有物
2ハウスが表すのはその人がもともと持っている才能や能力から得られる物です。具体的にはその人の収入や財産、持ち物を表します。これらは、その人が自由に使えるもので、コントロールしやすいことが特徴です。
8ハウスの基本的な意味
キーワード:他者の所有物
2ハウスに対抗する8ハウスは、その人が自由に使うことのできない他者の物を表します。例えば共同の資源、遺産、相続などを扱います。他者からの助け、配偶者の収入や資産、相続される財産など、個人が直接的に扱うことのできない外的要素の多い事柄がテーマとなります。
3ハウスと9ハウスの意味
3ハウスの基本的な意味
キーワード:身近で日常的な学び
3ハウスは個人の近くにあるもの、日常的に学べることや簡単に触れられる情報です。学びたいことを積極的に選び、身近な場所で学びを深め、身近にいる兄弟姉妹や近隣の人たちとの交流から得られる知識を表します。
水星が示す知性やコミュニケーションとの違い
水星は、知識を得たり、情報を処理したりする「方法」や「プロセス」を表し、どこで、何を学ぶかについては示しません。一方で、3ハウスは具体的な学びの「内容」や「範囲」を象徴し、自分がどう学ぶかというよりも、どんな学びを得るかを示します。例えば「身近で日常的な学び」の一つには小学校など、本人が気軽に学べる場が含まれます。
9ハウスの基本的な意味
キーワード:高次元の学び
9ハウスは、3ハウスよりもさらに高い次元の学びを表し、自己の内面的な探求や深遠な知識を得る過程で外的な助けや指導を必要とすることの多い事柄を扱います。
具体的には哲学、宗教、法律、異文化や異国の知識、高等教育、自己の世界観や人生観を深めることに関連しています。抽象的で広範囲な知識や、視野を広げるための学びです。例えば、3ハウスのテーマである「身近で日常的な学び」には初等学校がありますが、受験しなければ学ぶことができない高等教育学校などは、手の届きにくい学びの場として9ハウスが扱います。
9ハウスの具体例として、哲学や宗教を学んだり、大学で深い専門知識を得る、世界旅行を通じて異文化を理解する、精神的な成長を目指す。などがあります。
4ハウスと10ハウスの意味
4ハウスの基本的な意味
キーワード:プライベートな居場所
4ハウスは、「プライベートな居場所」をテーマに、その人が帰る場所、心の基盤や拠り所を象徴します。自分自身が意識せずとも持っている「個人的なルーツ」や「内面的な安定感」で、基本的には他者から干渉されず、自分の手に届く事柄がテーマとなります。
具体的には「生まれ育った家庭や家族」「心が落ち着ける場所(精神的・物理的な意味での「家」)」「個人的なプライベート空間や内面の安全地帯」を示します。
10ハウスの基本的な意味
キーワード:社会的な居場所
4ハウスに対する10ハウスの基本的な意味は「社会的な居場所」で、社会の中での役割や地位、他者から認識される「社会生活の中での自分の位置」を示します。個人の意志だけでは成し得ない「外部との関わり」を通じて形成される事柄で、他者や環境の影響を受けやすく、コントロールが難しい面があります。
具体的には「キャリアや職業上の立場」「公的な責任や社会的な成果」「他者が自分をどのように見ているか(評判、地位、影響力)」を表します。
まとめ:4ハウスと10ハウスの意味
4ハウスが「自分にとって安心できるプライベートな居場所」を提供する一方で、10ハウスは「社会の中で認められるために築く公的な居場所」を表します。この2つのバランスが、個人の安定と成功に大きく関わります。
5ハウスと11ハウスの意味
5ハウスの基本的な意味
キーワード:好きな事、楽しむ事
5ハウスは、個人が自然に熱中できる「好きな事」を中心に扱うハウスです。自分が楽しみながら自然に作り出せるもの、喜びや楽しみを感じられる活動(趣味、アート、スポーツなど)、恋愛も含まれます。また、その人が創り出すものとして「子ども」という意味も持ちます。
好きな事、楽しむ事は、個人がコントロールしやすい事柄で、成功体験が得やすく、即時的な満足感や、自己表現の喜びが感じられるという側面があります。
5ハウスは、個人が楽しみながら容易に達成できる事柄を表し、自己表現や創造性(何かを作り出す事)を楽しむことをテーマとしています。
11ハウスの基本的な意味
キーワード:理想、目標、夢
手軽に「好き」を形にできる5ハウスに比べ、11ハウスでは「好き」を社会へ、未来へと広げます。例えば、「趣味で絵を描いている人がアートフェスティバルを開催する夢を持つ」といったように、個人の趣味が社会的な目標に向かう過程が見られます。
11ハウスは、5ハウスの延長上にあって、その人の好きな事を社会やグループとの関わりを通じて、社会的に実現させるような大きな夢を表します。個人の趣味や楽しみ(5ハウス)の延長線上にある、理想や目標に関連した好きなこと、または社会的な価値や未来志向のビジョンに関連します。
また、夢や理想を実現するために、仲間やネットワークだけでなく、時代の潮流を読むことを通じて、理想を社会の中で実現する能力も象徴します。時代の流れを理解し、それを自分の理想や目標に結びつけて発展させることも11ハウスのテーマの一つです。
5ハウスから11ハウスへの流れ
5ハウスと11ハウスはそれぞれが影響し合い、テーマを補完しています。
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5ハウス:個人の創造性や楽しみ
- 自分の「好き」や得意なことを見つけ、自由に楽しむ。
- 例:趣味、遊び、芸術的な創造性、恋愛など、個人的な喜びに根ざした活動。
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11ハウス:5ハウスの延長としての理想や社会的挑戦
- 5ハウスで培った「好き」や「創造性」を広げ、社会や未来のために役立てる方法を模索する。
- 例:趣味を仕事にする、個人の創造性を使って社会課題を解決する、志を共有する仲間を見つけて活動を広げる。
最後に、5ハウスと11ハウスの具体的な例を対比して見てみましょう。
5ハウスが内側に広がりを見せ、11ハウスは外に広がりを見出していることが分かるでしょうか?ここでは、5ハウスがなければ11ハウスもないということも理解しましょう。
6ハウスと12ハウスの意味
6ハウスの基本的な意味
キーワード:個人の維持とメンテナンス
6ハウスは、個人の健康、仕事、日常生活の維持やメンテナンスに関連します。このハウスは、体調管理や、健康習慣、生活の中での具体的なメンテナンスがテーマです。ここでは、自分がコントロールできる範囲での努力や管理が重要です。
具体的には、食事や運動、労働など、自己管理がしっかりと行われていれば、健康や日常生活がスムーズに保たれます。言い換えると、体や日常生活を正常に保つためにやらなければいけないことにもなります。
もし、維持やメンテナンスができない場合は、病気になったり、日常生活を送ることが難しくなります。
12ハウスの基本的な意味
キーワード:社会の維持とメンテナンス
一方で、12ハウスは個人が社会の一員として、社会秩序を維持するための貢献がテーマになります。12ハウスは、ボランティア活動や精神的な支援、社会貢献といった無償の奉仕を象徴します。この貢献によって社会全体が安定することになり、その人自身にも間接的に恩恵がもたらされることがあります。
逆に、社会秩序を維持するための貢献ができない場合とはどういうことでしょうか?病んだ社会、社会秩序を乱すという意味にとらえられます。そのため、犯罪や裏組織なども12ハウスが表します。
まとめると、12ハウスが示す具体的な事柄は、社会秩序を維持するための、社会的貢献、無償の奉仕、精神的支援、社会の調和と安定に貢献することとなります。
まとめ:ハウスの意味一覧
上記に挙げたキーワードと具体的な事柄をまとめて一覧にしました。
- 1ハウス:自己
外見(服装、話し方、振る舞い)・第一印象 - 2ハウス:所有物
収入・財産・持ち物 - 3ハウス:身近で日常的な学び
身近な場所・身近にいる兄弟姉妹・近隣 - 4ハウス:プライベートな居場所
生まれ育った家庭や家族・心が落ち着ける場所(精神的・物理的な意味での「家」)・個人的なプライベート空間や内面の安全地帯 - 5ハウス:好きな事、楽しむ事
楽しみながら自然に作り出せるもの・喜びや楽しみを感じられる活動・恋愛・子供 - 6ハウス:個人の維持とメンテナンス
個人の健康、仕事、日常生活の維持やメンテナンスに関する事柄 - 7ハウス:他者
配偶者・恋愛パートナー・ビジネスパートナー・対立者・ライバル - 8ハウス:他者の所有物
共同の資源・遺産・相続 - 9ハウス:高次元の学び
哲学・宗教・法律・異文化や異国の知識・高等教育 - 10ハウス:社会的な居場所
キャリアや職業上の立場・公的な責任や社会的な成果・他者が自分をどのように見ているか(評判、地位、影響力) - 11ハウス:理想・目標・夢
個人の趣味や楽しみ(5ハウス)の延長線上にある理想や目標に関連した好きなこと・社会的な価値や未来志向のビジョン - 12ハウス:社会の維持とメンテナンス
社会的貢献・無償の奉仕・精神的支援・社会の調和と安定に貢献すること
講座の終わりに:占星術のハウス
占星術のハウスについての学習、お疲れ様でした!ここまでで、12のハウスがそれぞれどんな事柄を表しているのか理解を深められたのではないでしょうか。ハウスの概念は奥が深く、さまざまな解釈ができるため、今後さらに活用していくことで理解が深まっていくはずです。
次回の講座では、いよいよ「ホロスコープの解読」に進んでいきます。これまで学んできたサイン、天体、アスペクト、そして今回のハウスの知識を活かしながら、自分や他の人のホロスコープを実際に読み解いていきましょう。
尚、ハウスについてさらに知っておきたいテーマを以下の『深堀学習』で紹介しています。全ての講座が終了したらご一読ください。
『深堀学習』:占星術のハウスについてさらに学習します
インターセプト(挟み込み)
インターセプト(挟み込み)とは、あるハウス内に1つまたは2つの星座が完全に収まり、その星座がカスプ(ハウスの始まり)にない状態を指します。
例えば、下のホロスコープのように、1ハウスの始まりが水瓶座、2ハウスの始まりが牡羊座になっている場合です。間にある魚座はまるごと1ハウスに収まっていてハウスカスプに現れてきません。

真向いの7ハウスにもインターセプトができます。このインターセプトは、ハウス分割のプラシーダスによく見られ、珍しいことではありません。ただ、インターセプトに天体があると、ある傾向が見られることから重要視するようになりました。
インターセプトが持つ意味
インターセプトされた天体は、通常のハウスにある天体に比べて、そのエネルギーが自然に表面に現れにくい傾向があります。
上のホロスコープを例にすると、1ハウスの魚座にいる土星がインターセプトになっています。1ハウスの土星は、まじめで努力家な人を表しますが、魚座にあるため、自分を積極的に表に出すことは苦手です。やわらかくソフトなイメージを醸し出しつつ、内に秘めた努力を続ける人です。さらに、インターセプトされているため、このまじめさや責任感の強さ、努力家であるイメージはグッと抑えられ、周囲には分かりずらい傾向にあります。
対抗する7ハウスの金星はインターセプトされていないため、対人関係は積極的に交流を楽しむという通常の解釈ができます。
1サインに2つのハウスカスプ
インターセプトの他に、1つの星座に2つのカウスカスプができる場合があります。このケースは特別な意味は持ちません。ホロスコープの解釈は通常通り行います。