未来予測占星術ー天体のリターンー
占星術の未来予測で使われる「天体のリターン」とは?
占星術の未来予測で用いられる「天体のリターン」とは、出生時の天体が同じ位置にぴったり戻ってくる時を計算してホロスコープを作り、出生図と比べて占う方法です。このホロスコープは「リターン図」や「回帰図」と呼ばれています。古典占星術では、リターンではなく、レボリューションなどと呼ばれています。
天体のリターンは主に個人の将来を占う際に使用されます。毎年がどんな年になるかは太陽のリターン、毎月がどんな月になるかは月のリターンが使われます。太陽はソーラーリターン、月はルナーリターンと呼ばれます。
太陽と月以外の天体もリターン法で未来の予測をします。特に、土星のリーターンは重要視されます。同じ位置に戻ってくる他に90度と180度の位置になる時期が人生の節目になることが多いためです。
ソーラーリターンもプログレス法と同様に古来から存在し、長い年月を経て現代に至っています。過去のイベントと照らし合わせると一致する点(当たっている点)が多いことから現代までに残されているのだと思います。
ソーラーリターンの作り方
手動で計算する場合は、天文歴が必要です。ソフトウエアは瞬時にソーラーリターンを作ることができます。
天文暦を使ったソーラーリターンの作り方
例えば、30歳のソーラーリターンを作りたいとします。30歳を迎える頃の天文暦から、生まれた時の太陽の位置にトランジットの太陽がぴったり重なる日時を割り出します。
次に、ぴったり重なる日時でホロスコープをつくります。毎年ネイタルの太陽に重なる日時は変わります。
作成する際に注意したいのが場所です。その年に住んでいる場所や、引っ越しする場合は、新しい場所の緯度経度でホロスコープを作成します。
ルナーリターンや他の天体のリターンも同様です。月の場合は毎28日ごとにネイタルの月の位置にくるホロスコープを作成します。ただし、出生時間が不明だと最大7度前後の誤差が生じてしまい占うのは難しいでしょう。
Stargazer(スターゲイザー)でソーラーリターンを作るには
パソコンソフトのStargazerは、瞬時にこのソーラー・ルナーリターンを作成してくれて便利です。作り方のステップは次の通りです。あらかじめ出生データを登録しておく必要があります。
- メイン画面で3重円を選択。
- 出生データに占いたい人のデータを選択。経過データに出生データに占いたい年月とその人のいる場所を入力。
- 決定して、3重円を開きます。
- メニューの「回帰図」で「太陽回帰図+」または「太陽回帰図-」を選択
これでソーラーリターン(回帰図)が表示されます。メニューには月回帰もあります。プラスとマイナスで毎月、毎年の回帰図が瞬時に見れます。
上記の方法で作れる回帰図は太陽と月だけで、それ以外の天体については次のようにして回帰図を作ることができます。
- メイン画面で進行経過時期表を選択。
- 感受点設定で知りたい天体、例えば土星なら、Nの行の土星と、Tの行の土星を選択します。
- 座相設定でN-Tの合を選択。
- 出生は占いたい人の出生を選択します。
- 場所は占い人が現在いる場所にします。
- 占いたい期間を日付か年齢で入力します。
- 星座境界、位置情報は使用しない。
- 計算開始ボタンをクリックすると別ウインドウが開き、一覧が表示されます。
- 一覧の中から、知りたい年月の行をダブルクリックします
- ホロスコープが表示されます。
- 出生円メニューの出生data読込を選択して占いたい人を選びます。
- 表示された3重円のホロスコープが天体のリターン図になります。
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※CD付きでないと使えません。
リターン図の効力
リターン図の効力は、次のリターンまで続きます。ソーラーリターン(太陽)の場合は、約1年間です。ルナーリターンは次のリターンまでの約1か月の効力があります。金星は約1年など、天体の周期で効力は変わります。
天王星、海王星、冥王星がリターンするのは人間の寿命から言ってありえません。ただ、ホロスコープは死後も続きます。著名人が死後も話題になることがありますが、もしかしたらこのリターン図に何か現れているのかもしれません。(今後の研究課題としたいです)
ソーラーリターンを使った占い方
ソーラーリターン図を作った後、どこを見ていくのか、チェックポイントを以下に挙げます。
- ソーラーリターンの太陽のハウス
このハウスの事柄がその1年の主役になります。
- ソーラーリターンのASC・MCのネイタルの位置。またその逆。
- ソーラーリターンのハウスとネイタルのハウス
ソーラーリターン図のASCやMCと合となるネイタルの天体や軸があれば、その天体やハウスが強調される1年になるという具合です。大きな出来事がありそうな時期は次のようなリターン図です。
- ソーラーリターンとルナーリターンが似たような月
- ソーラーリターンとネイタルのMCとASCが同じになる年
ちなみに、私が結婚した年はソーラーリターン図のASCが出生図の7ハウスに位置してました。出会いのあった年はネイタルの10ハウスにソーラーリターンの7ハウスが位置していました。
このように、その年がどんな傾向なのかが分かります。詳しい占い方は、天体リターンの専門書を下記に紹介していますので参考にしてください。
土星のリターン
太陽・月以外のリターンで注目したいのが土星のリターンです。すべての人が28歳前後に土星のリターンを迎えます。この28歳前後には月のプログレスもちょうど1周してくるので時期が重なることが多く、実際にこの時期に人生の節目を迎えることが多いということで注目されています。土星のリターンだけを解説した本も出版されています。
天体のリターンを説明している本
ソーラーリターン、ルナーリターンも奥が深く、専門の書籍が出版されています。以下に天体リターンの占い方を掲載した書籍を紹介します。
鏡リュウジの占星術の教科書III
鏡リュウジの占星術の教科書III:深く未来を知る ステップアップ編鏡 リュウジ (著)2020/12/11
「鏡リュウジの占星術の教科書」シリーズの第3書の巻末に附録としてソーラーリターンの解説があります。
星読み+
星読み+石井ゆかり (著)2022/3/30
数ページですが木星と土星のリターンの意味について、わかりやすい言葉で初心者向けに説明しています。ASCやMC,ハウスなどの説明はありません。
運命が変わる土星占い(サターンリターン)
運命が変わる土星占い(サターンリターン)まつい なつき (著)2006/12
こちらも初心者向けになりますが、土星のリターンについて書かれています。ネイタルの土星が在室するハウスで土星のリターンが起こった時の説明でボリュームがあります。ASCやMC,ハウスなどの説明はありません。
占星学
トランジットが作るアスペクトの説明で、トランジットの火星、木星、土星、天王星がネイタルの同じ天体にアスペクトした時の意味が掲載されています。合(リターン)、90度、180度の解説があります。
The “New” Solar Return Book of Prediction(洋書)
The “New” Solar Return Book of Prediction
筆者は占星術でマーケット予想の大家で知られるレイモンド・メリマン氏です。全160ページ程、タイトル通りソーラーリターンで個人の未来を予測するという本です。初版は1977年でその後増刷を重ね第10版が2000年に出版されたのが最後になります。絶版のため高値がついているため入手困難のようです。
ソーラーリターンチャートのリーディング手法と、ソーラーリターンチャートを進行させたプログレスチャートのリーディングの説明があります。
Planets in Solar Returns(洋書)
Planets in Solar Returns Mary Fortier Shea (著)2018/4/12
こちらはKindle版もありすぐに読むことができます。全316 ページとボリュームがあり内容も充実した1冊。全てソーラーリターンチャートを読む手法が書かれてます。主に、ソーラーリターンチャートの10天体のハウス位置とアスペクトについての説明。ソーラーリターンチャートには「あるサイクルがある」という視点は他の本にはない考えで、ソーラーリターンについてよく研究されていると感じました。
Identifying Planetary Triggers
Identifying Planetary Triggers: Astrological Techniques for Prediction Celeste Teal (著)2000/12/1
サブタイトルにある通り、未来予測の手法がいくつか紹介されている本です。その中でも天体のリターンについては月から土星まで詳しい説明があります。リターンする天体の意味・リターン時に逆行している場合・リターンチャートのアスペクトの意味・占術例など。上記2冊の書籍は太陽のみ言及されていますが、この本は7天体について触れています。
Persian Nativities III(英語版)
Persian Nativities III: Abu Ma’shar on Solar RevolutionAbu Ma’shar (著), Benjamin N Dykes (翻訳)2010/6/1
古典占星術の未来予測法が英語で書かれた本です。もともとは、「Abu Ma’shar」という中世(787年生まれ)の占星術家がラテン語で書いた本を英語に翻訳した本です。古典占星術で使われるプロフィクションや、レボリューション(回帰)の解説があります。