未来予測占星術ートランジット法ー
トランジット法で未来を予測する
占星術には、現在の天体の動き(トランジット)が出生図にどう影響するかを分析し未来を予測する「トランジット法」があります。トランジット中の天体がネイタル(出生図)の天体や感受点にアスペクトを形成するか、どのハウスを通過するかを観察し、今後の出来事を読み解きます。

トランジット天体と出生図の天体の意味
トランジットする天体の意味
トランジットする天体は、内面の変化よりも外部からの影響として作用しやすく、人物や出来事の象徴と捉えることが適しています。以下に各トランジット天体が象徴する代表的な意味を挙げます。尚、tはトランジットの天体を表します。
- t太陽:重要な人物(上司、父親など)、注目される出来事や新たなスタート。
- t月:女性(母親、パートナーなど)や感情に関する出来事。身近な変化。
- t水星:通信、情報、契約。会話やニュースなど、考え方に影響する外的要因。
- t金星:愛情関係、友情、お金に関する出来事。和やかな人間関係や趣味。
- t火星:競争、対立など積極的な行動が求められる場面。エネルギッシュな人物。
- t木星:拡大や発展をもたらす出来事。学びや旅行、恩師など、成長に関連する人物。
- t土星:責任や制限、長期的な課題。権威者、または試練として立ちはだかる存在。
- t天王星:予想外の変化や独自性。変革をもたらす出来事、革新性を持つ人物。
- t海王星:曖昧さ、夢、幻影、またはスピリチュアルな出来事。幻想や不確実な要素。
- t冥王星:徹底的な変容、終焉と再生。権力や強制的な影響を及ぼす存在。
出生図(ネイタル)の天体の意味
出生図(ネイタル)の天体は、個人の内面や人生における特定のテーマを象徴しています。以下に各ネイタル天体が示す基本的な意味を紹介します。これにより、トランジット天体がネイタル天体にアスペクトを作る際に、どのようなテーマが刺激されるかを理解しやすくなります。尚、nはネイタルの天体を表します。
- n太陽:自己、自己表現、目的意識、生命力。人生の目標や中心的なテーマ。
- n月:感情、無意識、家庭環境。安心感や本能的な反応。
- n水星:知性、思考、コミュニケーション。情報の取り扱いや学びに関するテーマ。
- n金星:愛情、美、調和。恋愛や人間関係、価値観。
- n火星:行動力、意志、競争心。積極性や決断力、エネルギーの方向。
- n木星:拡大、成長、幸運。学びや発展、理想に関するテーマ。
- n土星:責任、制約、努力。忍耐や達成に向けたテーマ。
- n天王星:独立、変革、自由。革新や新しい可能性を求める心。
- n海王星:夢、直感、スピリチュアルな価値観。理想や想像力の世界。
- n冥王星:変容、再生、潜在的な力。徹底的な変化や、根源的な欲望。
ネイタルとトランジットする天体がアスペクトを作る意味
ネイタルとトランジットする天体がアスペクトを作るということは、「外的な出来事が内面に影響する」ことになります。
例えば、トランジットの太陽(t太陽)がネイタルの太陽(n太陽)と重なる(合)時、重要な人物や注目される出来事(t太陽の外的要因)が、その人(自己)に強い影響を及ぼしやすいタイミングになると解釈できます。
また、t太陽のいるサイン(星座)は、どんな重要な人物や、どんな注目される出来事なのかを示しています。
牡羊座のt太陽なら、どんな重要な人物でしょうか?2区分、3区分、4区分で言い表すと、積極的、行動的、情熱のある重要な人物になります。
そして、その人物がどのくらいの影響や、傾向をn太陽に与えるかはアスペクトが示します。合の場合はとても強い影響です。
さらに、ハウスの意味を加味するならば、このホロスコープの人に変化を与える物が何か、具体的な事柄を示します。1ハウスならその影響で外見に大きな変化があるとか、5ハウスなら恋愛の始まりとか、です。
このような感じでトランジット天体とネイタル天体が作るアスペクトを読み解いていきます。天体、アスペクト、星座、ハウスをどのように解釈するか、どのキーワードを使うのかは占術者次第です。
トランジット天体の調べ方
オンライン無料ホロスコープ作成サービス
無料でホロスコープにトランジットを表示してくれるオンラインサービスはこちらです。
MyAstroChart:MyAstroChart上記のサイトにアクセスして、画面上部の『ホロスコープ設定』から『二重円』を選択します。
上部の内円には、出生日時を入力していきます。出生時の入力方法は、次のページで細かく紹介していますので参考にしてください。
次に、画面下部の「外円」に占いたい時点を入力していきます。トランジットの場合は、AscやMcを使うことがないため、場所を細かく指定しなくても大丈夫です。国内にいるならデフォルトのままでも大丈夫です。
全て入力して、「二重円を作成(アスペクト表示付き)」をクリックすると次のようなホロスコープが作成されます。

内側(Inner Circle)がネイタル(出生図)、外側(Outer Circle)がトランジットです。このサイトの二重円ではホロスコープ中にアスペクトや位置情報が表示されません。位置情報はホロスコープの下に出力されます。

アスペクトはその下に出力されます。トランジット法の占い手順でも紹介しますが、トランジットで注目するのは、外天体です。下のアスペクト一覧で、「注目ポイント」に丸を付けました。

ネイタルの金星にトランジットの天王星がアスペクトを作っています。天王星は動きが遅いため数か月間ネイタルの金星を刺激します。もしネイタルの金星が他のトランジットや、プログレスでアスペクトを作っていれば、愛情に関して予想外の事が起きそうだと予想します。また、ネイタルの金星は7ハウスなので、パートナーシップにも関係し、トランジット天王星は4ハウスを移動中のため家庭環境の変化とパートナーシップの変化とも予想できます。
データを一覧で出力したい
ホロスコープ形式ではなくデータとして天体の位置を一覧で表示したい場合は、NASAのJPL(アメリカの政府機関)のサイトを利用すると良いでしょう。このサイトではデーターをダウンロードすることが可能です。
おすすめパソコンソフト
トランジット法で未来予測をするには、アスペクトを瞬時に自動計算してくれるソフトがあると便利です。
「Stargazer(スターゲイザー)」を使えば、一生分のネイタル天体(出生時)とトランジット天体のアスペクトを全て画面とファイルに出力してくれます。また、サインイングレス、逆行と順行の日時も一覧で出力できます。トランジットのオーブの設定は3度までできます。
必ずCD付きを購入してください。
トランジット法の占い手順
トランジット法を用いた未来予測の基本的な手順を紹介します。
手順1:トランジット法では動きの遅い天体に注目する
トランジット法では、月や水星などの動きの速い内天体よりも、動きの遅い外天体に重点を置きます。内天体がネイタル天体にアスペクトを作っても、その効果は数時間から数日で消えてしまうため、一般的に影響は軽微です。
そのため、まずは動きの遅い外天体からチェックします。 冥王星、海王星、天王星、土星、木星といった外天体は、ゆっくりと長期間かけてネイタルの天体に影響を与え、その影響は深く、人生における重要な出来事に結びつきやすいとされています。
例えば、太陽は1日で1度動きますが、冥王星が1度動くには数か月がかかります。こうした外天体が形成するアスペクトは、人生に大きな変化をもたらす可能性があるため、注意深く観察することが大切です。
手順2:複数のトランジット天体がアスペクトを作っていないか注目する
次に、複数のトランジット天体がアスペクトを作っていないか注目します。特にトランジットする内天体は同じような位置にいることが多く、ネイタルの天体に同時にアスペクトを作ります。
外天体がネイタルにアスペクトを作っているときに、内天体が同時にアスペクトを作ると強い影響がでて、プログレス法で暗示している事柄が起こる可能性が大きくなります。
トランジット天体のアスペクトのオーブ
トランジットする天体のアスペクトにおいて、オーブ(角度の許容範囲)は重要なポイントです。内天体と外天体ではその動きやアスペクトの持続期間が異なるため、占術家によって異なるオーブを設定することがあります。例として、冥王星は2度、海王星は3度、太陽は5度のオーブが一般的です。
トランジット法の注意点
トランジット法で気をつけたいのは、単一のアスペクトが人生に大きな影響を与えることは少ないという点です。たとえば、トランジットの月がネイタルの太陽にトラインを形成しても、n太陽が他の天体から良いアスペクトを受けていない場合、期待通りの良い結果は得られないことが多いです。t月だけのアスペクトの影響は微々たるものです。
トランジット法は、これまで学んだプログレス法と共に使うことで、より実際的な予測が可能となります。プログレス法で示されるのは内面の変化であり、トランジットの影響がきっかけとなって、プログレスで暗示されている事柄が現実の出来事として現れるとされています。
トランジット法を紹介している本
トランジットする天体が作るアスペクトや、通過するハウスの意味についてさらに深く理解したい方は、ぜひ関連書籍を参考にしてください。これらの書籍では、各天体の影響やアスペクトの解釈、ハウスの象徴的な意味合いについて詳しく解説されています。占星術を学び、実践する上での貴重な情報源となるでしょう。
鏡リュウジの占星術の教科書 II
前半は相性の占い方について説明があり、後半にトランジット法の説明があります。相性のボリュームの方が多いですが、トランジットについて分かりやすく説明されているので、おすすめです。巻末には無料で利用できるホロスコープの紹介もあります。
冥王星占星術
『冥王星占星術』は冥王星のトランジットとネイタルの天体がつくる個々のアスペクトの意味について解説した本です。冥王星は一番外側を運行する天体で動きが遅く、ネイタルの天体とアスペクトを作る期間が数年と長いため、その影響は大きいとされます。一体どんな影響があったのか、著者の経験も交え解説した本です。トランジットの冥王星のみに着目している点がポイントです。