【応用】占星術講座4:占星術における10天体
「占星術における10天体」の応用編では、実践的な分野でよく使われる事柄に焦点を当てて学習します。未来予測やホラリー占星術などに活かせるようになり、占星術の理解を一層深められるでしょう。

天体の順行と逆行・ステイションについて
天体の動きには、順行(通常の前進運動)、逆行(後退運動)、そしてステイション(留)という3つの重要な状態があります。この動きは、占星術において非常に重要な意味を持ちます。
- 順行 天体が順行している場合、これは通常の運行を意味します。地球から見て天体が東から西へと移動しているように見える状態です。
- 逆行 逆行は、天体が一時的に後退しているように見える現象です。地球の軌道上の位置関係により、天体が一時的にその運動を逆転させるように見えるため、この現象が生じます。これは、進行方向が同じ2つの列車で、片方が減速すると、後ろに後退しているように錯覚するのに似ています。
- ステイション ステイションは、天体が逆行から順行へ、またはその逆に切り替わる直前の状態を指します。実際には少しずつ動いているのですが、動きが非常に遅くなるため、天体が「静止」しているように見えます。
次に、知っておくべきポイントを以下に挙げます。
- 月と太陽は逆行しない
- 月と太陽以外は逆行と順行を繰り返す
- 天体によって逆行する期間が異なる
- 出生図とトランジットの逆行の意味が異なる
- 多くて3度同じ場所を通る(下図)

上記の図で、ホロスコープ内の太陽はネイタルの太陽です。トランジットする木星が逆行すると、多くて、3度同じ場所を通ります。そのため、太陽Aは1度だけですが、太陽Bは3度も幸運の木星のアスペクトを受けることになり、影響期間が異なります。
トランジットで未来予測する際は、逆行する天体にも注目してみましょう。
天体の公転速度とその重要性
各天体の公転速度は覚える必要はありませんが、どのくらいの速さで12星座を一周しているのか知る必要があります。
- 太陽:約1年
- 月:約27.3日
- 水星:約1年
- 金星:約225日
- 火星:約1.9年
- 木星:約12年
- 土星:約29.5年
- 天王星:約84年
- 海王星:約165年
- 冥王星:約248年
各天体の公転速度を知ることで、天体が個人や社会、時代に与える影響の周期やその持続時間を理解できます。例えば、幸運の星である木星は1サインに1年留まります。今、どのサインにいるか分かれば、来年、再来年の木星の場所を天文暦を見なくても簡単に計算できます。
天体の年齢域とその影響力
年齢域は、人生の時期ごとの運勢分析に役立ちます。
各天体には年齢域というものがあり、特定の年齢範囲においてそれぞれの天体が持つ影響力が最大限に発揮されるとされています。この年齢域は、各天体ごとに異なり、重複することはありません。
個人鑑定で運命を占う際、暗示されるすべての事柄が生涯にわたって常に起こるわけではありません。暗示されていることがいつ起こるかを知るためには、未来予測法のプログレスやトランジットを使用して占うことが一般的ですが、年齢域も有効な手段の一つです。
例えば、月に暗示される事柄は、生まれてから幼少時期に特に影響を及ぼすとされています。この時期に月のエネルギーが最大限に作用するため、子ども時代の経験や感情の形成に深く関与しています。
また、太陽に関しては、21歳から35歳の間にその影響が最大限に発揮されるとされます。この時期は自我が確立され、自己表現が重要なテーマとなるため、子供の時と大人になってからの性格の違いは、こうした天体の年齢域からも影響を受けているといえるでしょう。
以下に各天体の年齢域を紹介しますが、文献によって数年の違いがあります。次の表は7年を1つの周期として独自に作ったものです。
- 月: 0歳~7歳
幼少期の感情や母親との関係に影響を与える。 - 水星:7歳~14歳
学びやコミュニケーション能力の発展に関与し、思考や表現が重要な時期。 - 金星:14歳~21歳
恋愛や人間関係、自己価値の認識が中心となる。 - 太陽:21歳~35歳
自我の確立や自己表現の発展に最も強い影響を持つ。 - 火星:35歳~42歳
自己主張や行動力、目標への挑戦が促される時期。 - 木星: 42歳~56歳
成長や発展、学びの機会を求める年齢域。 - 土星: 56歳~70歳
責任や現実的な問題に向き合う時期。人生の転機が訪れることも。 - 天王星: 70歳~84歳
社会や個人の枠組みを超えて新しい価値観を持つ時期。 - 海王星: 84歳~98歳
霊的な探求や夢、幻想に影響を与える。 - 冥王星: 98歳~119歳
深い変容や再生、人生の終焉と新たな始まりを象徴する。
占星術における天体の品位
天体がどの星座に位置しているかにより、その天体が本来の意味を発揮できるかが異なります。これを「天体の品位」といい、次の4つのレベルで表します。
- 盛(デグニティ)
天体の意味が最大限に発揮される位置 - 興(イグザルテーション)
次に天体の意味が強まる位置 - 敗(デトリメント)
天体が力を発揮しにくい位置 - 衰(フォール)
天体の力が弱まる位置
たとえば、金星が最も力を発揮するサインは牡牛座と天秤座で、これが「盛(デグニティ)」にあたります。その次に力を発揮できるのが「興(イグザルテーション)」で、金星の場合は魚座が該当します。一方、牡羊座と蠍座にあると「敗(デトリメント)」となり、乙女座では「衰(フォール)」として力が発揮しにくくなります。
天体の品位は、特に古典占星術で重視されてきた概念で、ホラリー占星術でも広く使用されていますが、現代では一般的な占星術の解釈で品位があまり重視されなくなりつつあります。そのため、品位に言及する書籍も少なくなっています。
しかし、天体の基礎を学ぶうえで、品位の知識は非常に役立ちます。サインの支配星(ルーラー)は「盛(デグニティ)」に該当するため、この点を起点に覚えると理解がしやすくなるでしょう。
ホラリー占星術における品位の活用例
ホラリー占星術では、品位はチャート内で象徴する天体の状況判断に用いられます。たとえば、ある人の行方がわからなくなったとき、その人を象徴する天体(たとえば金星)の品位を見て状況を判断します。金星が「盛」の位置にあれば、その人は比較的良い状況にいる可能性が高く、反対に「敗」の位置にあれば困難な状況にいる可能性が示唆されます。ホラリー占星術では、このように品位を重要な判断材料のひとつとし、さらにアスペクトなどの要素も組み合わせて解釈を行います。
出生図での品位の使い方
出生図においても天体の品位は、個人の性質や特性がどれだけ発揮されやすいかを判断する際の重要な要素です。各天体がどのサインに位置しているかを確認し、その品位を考慮することで、個人の資質に対する洞察が得られます。
たとえば、太陽が「盛」のサインである獅子座にあれば、その人は自己表現や自信が発揮されやすい傾向があると解釈できます。一方、太陽が「衰」にあたる天秤座にある場合、自己表現が控えめになりやすく、自己認識が揺らぎやすい性質が見られるかもしれません。
また、月が「興」にあたる牡牛座にあると、感情的な安定や安心感が得られやすい一方、逆に「敗」の蠍座にあると、感情が複雑で内向的な傾向が出ることがあります。このように、品位は各天体が象徴する個性や潜在能力に影響を与えるため、出生図の解釈でも非常に参考になります。
天体の品位による影響は、特に古代占星術で重視されてきましたが、現代占星術でも知識として理解しておくと役立ちます。品位の基本を支配星(ルーラー)から覚えることで、効率的に理解を深めていくことができるでしょう。以下に各天体の品位を紹介します。
天体 | 盛 | 興 | 敗 | 衰 |
---|---|---|---|---|
☉ | ♌ | ♈ | ♒ | ♎ |
☽ | ♋ | ♉ | ♑ | ♏ |
☿ | ♊♍ | ♍ | ♐♓ | ♓ |
♀ | ♉♎ | ♓ | ♈♏ | ♍ |
♂ | ♈♏ | ♑ | ♉♎ | ♋ |
♃ | ♐♓ | ♋ | ♊♍ | ♑ |
♄ | ♑♒ | ♎ | ♋♌ | ♈ |
♅ | ♒ | ♏ | ♌ | ♉ |
♆ | ♓ | ♒ | ♍ | ♌ |
♇ | ♏ | ♌ | ♉ | ♒ |