【基礎】占星術講座9:ホロスコープの解読を深めるI
ホロスコープの解読には段階があります。入門編では、サインやハウスの区分を用いて、ホロスコープ全体の特徴を大まかに捉える方法を学びました。
この基礎編では、そこから一歩進み、重要な感受点(太陽・月・ASC・MC)を中心に解読する方法を学びます。この解読で、個人の性格や生き方のテーマをより深く理解できるようになります。
ホロスコープをより実践的に読み解くための重要なステップとなるので、じっくり学習していきましょう。

重要な感受点から解読する
入門編でホロスコープ全体を把握したあとは、解読の基本として、太陽・月・ASC・MCという4つの重要な感受点を確認します。この感受点は個人の根本的な性質や傾向を表すため、最初に押さえておくべきポイントです。
もし出生時間が不明な場合は、サインとアスペクトのみを解読します。また、ある程度の出生時間が分かっており、月の位置がハウスの境界(カスプ)付近でなければ、月の解読が可能です。
ホロスコープで太陽の役割を読み解く
ホロスコープにおける太陽は、その人の本質や自己実現の方向性を示します。解読の基本的な流れは以下の3つのステップです。
- 太陽の「サイン」を確認し、その人の基本的な性質を読み解く
- 太陽の「ハウス」を確認し、どの分野で自己実現を目指すかを分析する
- 太陽の「アスペクト」を確認し、性格や運勢に影響を与える要素を見極める
次のホロスコープを例に太陽を解読してみましょう。


この人物の太陽は次のような配置になっています。特に土星と木星のグランドトラインが特徴的です。グランドトラインは、3つの天体が120度の角度で形成する安定した配置で、調和的なエネルギーが流れやすいとされています。
- 太陽は蟹座で5ハウス
- 土星とトライン
- 木星とトライン(オーブが10度近く表中にはありません)
- 海王星とオポジション
では、一つずつ解読していきます。
- 「太陽」…「この人物(自己)」は、
- 「5ハウス」…「好きなことや楽しむこと」に関する事柄に対して
- 「蟹座」…「感情豊かで思いやり深い」性質を示します。ただし、2区分がマイナス(陰)のため、自己表現の方法は外向的というよりも内向的で、身近な人間関係やプライベートな活動に重点を置く傾向があります。
- 「土星とのトライン」…5ハウスの事柄に対して慎重で責任感があり、長期間にわたって努力を積み重ねることができます。
- 「木星とのトライン」…5ハウスの事柄に対して楽観的で発展的なアプローチを取り、チャンスや成功を引き寄せやすいです。
- 「海王星とのオポジション」…5ハウスの事柄において、理想と現実の間で葛藤しやすい傾向があるかもしれません。想像力が豊かですが、時に現実逃避に陥る可能性もあります。
太陽の解読まとめ
この人物は、以下のような特徴を持っています。
- 自己表現や創造的な活動に情熱を持ち、楽しみながら取り組む。
- 慎重さと責任感を持ち、努力を続けることで成功をつかみやすい。
- 運の良さや成長の機会に恵まれ、前向きな姿勢で人生を切り開く。
- 理想と現実のギャップに悩むこともあるが、その経験を活かして成長できる。
このように、太陽の星座・ハウス・アスペクトを組み合わせることで、その人の自己実現の方向性を深く読み解くことができます。
ホロスコープにおける月の意味と読み方
月のサイン・ハウス・アスペクトの読み方
月は、感情や無意識の反応、安心感を得る方法を示します。解読の流れは以下の3つのステップです。
- 月の「サイン(星座)」を確認し、感情の性質や反応の仕方を読み解く
- 月の「ハウス」を確認し、どの分野で感情が表れやすいかを分析する
- 月の「アスペクト」を確認し、感情の安定性や変化の傾向を見極める
続いて例題のホロスコープをもとに月を解読してみましょう。
例題の月は次のような配置になっています。特に土星と冥王星のTスクエアが特徴的です。Tスクエアは、3つの天体が90度と180度の関係で形成される配置で、強い葛藤やプレッシャーを生むとされています。
- 月は双子座で3ハウス
- 火星とタイトな合
- 土星とスクエア
- 冥王星とオポジション
この人物の「感情(=月)」はどんな性質(サイン)で、どこ(ハウス)で表れるのでしょうか? そしてどんな傾向(アスペクト)があるのでしょうか?
月の基本的な性質
- 「双子座の月」…感情は柔軟で適応力があり、知的な方法で表現する傾向があります。
- 「3ハウスの月」…知的好奇心が強く、会話や情報交換を通じて安心感を得ます。
月のアスペクトの影響
- 火星とのタイトな合…感情表現が直情的で、時に衝動的になる傾向があります。特に言葉での応酬が激しくなりやすく、怒りっぽい一面もあるかもしれません。
- 土星とのスクエア…感情を抑えたり、慎重になりやすい傾向があります。特に幼少期に「感情を表に出すことを制限される」経験があると、自己表現に対して抑制的になることがあります。
- 冥王星とのオポジション…感情の強さが極端になりやすく、激しい感情の浮き沈みを経験する可能性があります。感情のコントロールが課題になるかもしれません。
月の解読まとめ
この人物の感情面には、以下のような特徴が見られます。
- 知的好奇心が旺盛で、会話や情報交換を通じて安心感を得る。
- 感情表現が衝動的で、言葉を通じた感情の発散が多い。
- 幼少期の影響で感情を抑え込む傾向があるが、その分忍耐力もある。
- 感情の浮き沈みが激しく、心理的な変容を経験しやすい。
このように、月のサイン・ハウス・アスペクトを総合的に考えることで、その人の感情傾向や心理的な課題を深く理解することができます。
ASC(アセンダント)から外見を解読する
ASC(アセンダント)は、外見や第一印象に影響を与えます。さらに、ASCのアスペクトは、その印象にどのような影響が加わるかを示します。また、ASCの支配星(ルーラー)が入るハウスとアスペクトは、「他者から見た特徴」がどのように表れやすいかを示します。
解読の流れは、次の3ステップです。
- ASCのサインを確認し、外見や第一印象の傾向を読み解く
- ASCのアスペクトを分析し、印象にどんな影響が加わるかを確認する
- ASCの支配星のハウス・アスペクトを見て、他者からの見られ方を詳しく掘り下げる
1. ASCの基本的な特徴
- ASCのサインは「水瓶座」
- 金星とオポジション(Tスクエア)
- 冥王星とスクエア(Tスクエア)
ASCのサイン:水瓶座
- 「水瓶座のASC」…この人物の外見や第一印象は、「クール」「理知的」「個性的」といった印象を与えます。
- スタイルは独特で、流行よりも「自分の好み」を大事にする傾向があります。
- 服装や髪型も、他の人とは少し違ったこだわりを持ち、ユニークなセンスを感じさせます。
- 話し方や態度にも自由な雰囲気があり、型にはまらない印象を与えます。
2. ASCのアスペクトが与える影響
- 金星とのオポジション
この人物は「魅力的」な雰囲気を持っていますが、時に「見た目と中身にギャップ」を感じやすいかもしれません。例えば、「外見は社交的で親しみやすいが、実際には距離を置きたがる」といった矛盾を抱えやすい傾向があります。 - 冥王星とのスクエア
第一印象が「強い」「ミステリアス」と映ることが多く、人から強く注目されることもあります。しかし、自分ではそうした影響を意識しておらず、時に誤解を生むこともあります。また、環境や人間関係の影響で「見た目の印象が変化しやすい」傾向もあります。
3. ASCの支配星のハウスとアスペクト
- 支配星は天王星
- 12ハウス
- 冥王星とセクスタイル
- 海王星と合
- 支配星が12ハウス
12ハウスに支配星が入ることで、この人物は「表舞台よりも裏方で活躍する」ことが多いかもしれません。また、神秘的な雰囲気があり、直感力が鋭いタイプとも言えます。 - 冥王星とのセクスタイル
冥王星が与える「カリスマ性」が強調され、周囲から「影響力がある人物」「オーラを持っている」と思われることが多いでしょう。 - 海王星と合
海王星の影響で「柔らかく夢見がちな印象」を与えやすく、アーティスティックな雰囲気を持っているかもしれません。
ASC解読まとめ
この人物の外見や第一印象には、以下のような特徴が見られます。
- 水瓶座のASCにより、個性的でクールな印象を持つ。
- 金星とのオポジションにより、見た目と本当の自分のギャップを感じやすい。
- 冥王星とのスクエアにより、ミステリアスで強い印象を与えやすい。
- 支配星の天王星が12ハウスにあるため、神秘的で裏方の役割を好む傾向がある。
- 冥王星のセクスタイルによって、影響力やカリスマ性を持ちやすい。
- 海王星と合で、夢見がちでアーティスティックな印象を与えることもある。
ASCを解読することで、「他者からどのように見られやすいか」や「第一印象の持たれ方」を知ることができます。
MC(ミディアム・コエリ)から社会的な役割を解読する
MCは社会的地位やキャリア、または人生の目標や公の場での姿を示すポイントであり、「社会的視点から見たその人」を象徴します。MCのサインが示すのは、社会の中でどのように評価されるか、公の場でどのような性格や資質が強調されるかです。また、MCのアスペクトによって、社会的な役割の果たし方や公的な評価の傾向が変化します。
冥王星のカルミネート
まず、冥王星がMCに近く、カルミネートしている点が強調されています。冥王星がMCに近い人は、強い影響力を持ち、時代を象徴するような人物になることが多いです。
MCのサインとアスペクト
MCのサインはその人の公的なイメージや社会的評価の方向性を表し、MCに対するアスペクトが、その傾向や影響を強めたり、変化を加えたりします。
- MCのサインは「射手座」
- 月とオポジション
- 火星とオポジション
- 土星とオーブの広いスクエア
MCの支配星とハウス
MCの支配星が入るハウスは、「社会的役割」や「公的な活動」が具体的にどのような分野で表れるのかを示します。また、支配星に対するアスペクトが、その影響の方向性を決定します。
- MCの支配星・木星は8ハウス
- 水星とオーブが約5度トライン(グランドトライン)
- 土星とオーブが約8度のトライン(グランドトライン)
※木星と土星のオーブは広めですが、アスペクトの影響を考慮し、ここでは有効なものとして扱います。占術者によっては、このアスペクトを弱めに見る場合もあります。
それでは、詳しく解読していきます。
MCのサイン:射手座
この人物の公的なイメージは「射手座」のため、積極的(2区分)で、臨機応変な行動力があり(3区分)、そして情熱的(4区分)であると社会から見られています。射手座は、自由で冒険心が強く、遠くを見据えて行動する性質を持つため、この人物は社会の中で新しい挑戦を恐れず、大胆に行動する姿勢を評価されやすいでしょう。
MCと月のオポジション
社会から見えるイメージと自身の感情が一致しにくい傾向があります。例えば、社会的には射手座が表すエネルギッシュで情熱的な印象を与えつつも、内面では感情的な不安や満たされない気持ちが強まることがあります。そのため、社会的評価と自己の内面との間にギャップを感じることがあるかもしれません。
MCと火星のオポジション
社会的なイメージと自身の情熱や行動がかみ合わないことがあります。例えば、社会的な役割に対して積極的に挑む姿勢や行動力を持っていますが、時にそれが過剰になり、葛藤や対立を生むことがあります。この人物は、社会的な成功を求める中で、自らの情熱やエネルギーのコントロールが重要となるでしょう。
MCと土星のスクエア
社会的な役割において慎重さや現実的なプレッシャーを感じやすい傾向があります。社会的な評価を得るためには努力と時間をかけて成果を積み重ねていく必要があると示唆しています。しかし、土星の影響によって、社会的な成功が着実なものとなる可能性もあります。長期的な視野での成長が求められるでしょう。
MCの支配星・木星が8ハウスにある影響
8ハウスは「他者の資産」「共有するリソース」「深い変容」を象徴する領域です。MCの支配星である木星が8ハウスにあることで、この人物の公的な活動は、他者の支援や資源を活用しながら成長していく傾向があると考えられます。例えば、チームワークや組織的なサポートを受けながら、社会的な地位を築いていくことが予測されます。
支配星・木星と水星のトライン
土星とのトラインがあるため、安定感と責任感があり、長期的な成功へとつながる傾向があります。この人物は、社会的な役割において、堅実な努力を続けることで周囲からの信頼を得るでしょう。
グランドトライン(水星・木星・土星)
支配星・木星が水星と土星とともにグランドトラインを形成しているため、社会的役割や仕事において調和と安定感が生まれやすく、成功へと向かいやすい傾向にあります。グランドトラインは、物事がスムーズに流れる配置ですが、その分、努力を怠らず活かしていくことが重要です。
このホロスコープは大谷翔平選手のもの
ここまで解読してきたホロスコープは、大リーガー大谷翔平選手のものです。彼のプレースタイルやキャリアの歩みと、ホロスコープの示す特徴が非常に一致していることがわかります。
ASCルーラーは12ハウスではなく11ハウスの可能性が高い
ただ、現在のデータではASCルーラー(天王星)が12ハウスに位置しているため、実際とズレがあるように感じます。もし、生まれた時間が15分程度早かった場合、ASCルーラーは11ハウスに移動します。この可能性を考えると、大谷選手の特徴とより一致する部分が多くなります。もし、15分程度早い生まれの場合、次のような解読ができます。
ASCルーラーが11ハウスにある場合の影響
もし出生時刻が15分早かった場合、ASCルーラーである天王星は12ハウスではなく11ハウスに位置することになります。11ハウスは、「仲間や組織との関係」「未来志向」「社会的な影響力」といったテーマを持つため、次のような特徴が強調されるでしょう。
- 「チームや仲間との関係」が人生の重要なテーマとなる
- 11ハウスは「未来志向・理想を現実化する力」を表すため、革新的な発想で社会に影響を与える
- ファンや社会からの支持を受け、影響力を発揮しやすい
このように、出生時刻のわずかな違いが、ホロスコープの解釈に影響を与えることは少なくありません。特にMCやASCルーラーの位置は、社会的な役割や人生の方向性を決定づける要素となるため、正確な出生時刻の確認が重要になります。
講座の終わりに
今回の「ホロスコープの解読を深めるI」いかがでしたでしょうか?ホロスコープの解読では、全体像を把握した後に太陽・月・ASC・MCの4つの要素を読み解くことが基本です。
本講座の「ホロスコープの解読を深めるI」には、同じ基礎レベルの講座で「ホロスコープの解読を深めるII」があります。「II」では、太陽・月・ASC・MC以外の天体の解読を学習します。引き続きホロスコープの解読を学んでいきましょう。