ホラリー占星術

ホラリー占星術は、質問に対してYES,NOで簡単に答えられる占術で、質問者の生年月日などは不要です。質問された時間や、出来事が起こった時間を使用してホロスコープを作成して占います。チャートの解読は出生図の解読とは異なり、ホラリー占星術独特の技法があります。

ホラリー占星術の起源

ホラリー占星術は、17世紀にイングランドで活躍したウィリアム・リリーが考案し誕生したとされています。その占術方法の詳細は、『クリスチャン・アストロロジー』という書籍に残され、現代にまで引き継がれています。日本語に翻訳された書籍が入手できます。ホラリー占星術について述べられているのが第1書&第2書です。

現在多くのホラリー占星術に関する本が出版されていますが、その多くは『クリスチャン・アストロロジー』がもとになっています。

現代に合わせたホラリー占星術で、『クリスチャン・アストロロジー』よりも読みやすく理解しやすい本もあります。また、占星術師が独自に開発したホラリー占星術の本も出版されています。

当サイトのリンク:ホラリー占星術の本

ホラリー占星術で占えること

ホラリー占星術では、「失くした物がでてくるか」「あの人は戻ってくるか」などを、Yes・Noで答えたり、「どこにいるか」とか、「無くしたものはどこにあるか」など、「場所」や「方角」、そして「いつ」という質問にも回答できます。

人間関係では、「相手はどう思っているのか?」「これから彼とどうなっていくのか?」など。例えば相手の誕生日が分からなくても、占うことができます。

その他には、「今夜19:00から始まる試合はどちらが勝つか」「朝5時に打ち上げられるスペースシャトルは成功するか」など、さまざまな事柄を占うことができます。

ホラリー占星術の占い方

ホラリー占星術の占い方をざっくり紹介します。本格的に勉強したい場合は、何冊かのホラリー占星術の本を購入して独学することをおすすめします。

占いの手順は次の5ステップです。

  1. ホロスコープを作ります。
  2. ハウスを決めます。
  3. ハウスの状態を見ます。
  4. 天体のアスペクトを見ます。
  5. 総合的に判断します。

1.ホロスコープを作る

まずはホロスコープを作る必要があります。ここで問題となるのが、日時と場所です。

ホロスコープを作る際の時間・場所

ホラリーで「今夜19:00から始まる試合はどちらが勝つか」という質問の場合は、19:00と試合場所を使用してホロスコープを作成します。

ところが、ホラリーで失くしたものを占うときはどうすべきでしょうか?失くした時間と場所が不明の場合、失くしたことに気が付いた時間と場所、または、占ってみようと思った時間と場所や、質問の内容を理解した時間と場所を使用します。

2.ハウスを決める

次にハウスを決める必要があります。例えば、「明日の面接はうまくいくか?」という場合は、占い対象は自分なので、1ハウス。そして仕事の面接なら10ハウス。という具合です。

「対人関係を占う」場合、1ハウスは自分や質問者です。相手が恋人なら5ハウス、友人なら11ハウス、夫は7ハウス、兄弟や隣人は3ハウス、職場の人なら10ハウスなど。

このようにホラリー占星術では質問に出てきた人や物がどのハウスに対応するか、まず先に決めなくてはいけません。

尚、月も質問者として使用されます。つまり、質問者を表すのは1ハウスと月になります。

ホラリー占星術とハウス

以下は一例になりますが、質問に当てはまるハウスを決めましょう。

  • 1ハウス:質問者自身
  • 2ハウス:質問者の所有物
  • 3ハウス:兄弟・近隣・旅行・学習
  • 4ハウス:家庭・住居・不動産・母親
  • 5ハウス:子供・恋愛・投機・ギャンブル・趣味
  • 6ハウス:病気・仕事場
  • 7ハウス:結婚相手・ライバル
  • 8ハウス:遺産・夫の持ち物
  • 9ハウス:外国人・外国・専門知識
  • 10ハウス:仕事・父親
  • 11ハウス:友人・願望
  • 12ハウス:隠れたもの(敵や陰謀、災難、Webなど)

3.ハウスの状態を見る

ハウスが決まったら、ハウスの状態を見ます。

ハウスの状態を見るためにまず、ハウスに在室する天体とハウスのルーラーを確認します。これらの天体の状態を見ていくことになります。

天体の状態

ハウスに在室する天体とハウスのルーラーの状態とは、具体的に次の項目になります。

  • 品位
  • 逆行か順行か
  • タイムやフェースなど(古典)
  • 動きの速さ(古典)

天体の品位や逆行にもホラリー占星術独特のルールがあります。通常、品位や逆行は、出生図のリーディングではあまり重要視されません。しかしホラリー占星術で、天体が質問内容を表している場合、品位が悪いと、質問の答えが悪いと判断されます。

また、逆行については、「意に反している」や「能力を発揮できない状態である」などという判断をします。

タイムやフェースは古典占星術で使用されるもので、全く使用しない占星術師もいます。天体の動きの速さも同様です。

4.天体間が作るアスペクト

天体間が作るアスペクトがホラリー占星術の重要な判断材料となります。そして、アスペクトを見る際には特別なルールがあります。

まずは、質問に関係するハウスのルーラー同士が作るアスペクトを確認しましょう。以下にそのルールの一部を紹介します。

尚、使用するアスペクトの種類は第一種のみです。

接近してるか離反か

出生図のリーディングで天体同士がつくるアスペクトを見るときは、オーブを考慮します。ところがホラリー占星術ではオーブではなく、接近か、離反かを考慮します。離反のアスペクトは過去の出来事として扱い、接近がこれから起こることとします。

逆行

関連する天体にアスペクトを作る前に逆行する場合や、アスペクトを作る前にサインを抜けてしまう場合、マイナスの状態を示しています。尚、アスペクトの種類によって良い、悪いの判断が変わるルールもあります。

他にアスペクトを作る天体

関連する天体にアスペクトを作る前に他の天体にアスペクトする場合、他の天体が邪魔をする事柄を示してます。

この他にもミューチュアルレセプションや、質問の内容に応じて解釈が異なるというルールがあります。

5.総合的に判断する

天体の状態やアスペクトから総合的に判断します。ホラリー考案者のリリーはこの判断のための点数表を作ってました。

例えば品位が良ければ3点、逆行なら-1点など。すべてを足して点が高ければYES。そうでなければNO。など。客観的に判断してました。

YES・NOの判断

YESかNOを判断するとき、単純に関連するハウスのルーラー同士が作るアスペクトの種類を見ます。どちらかがそのサインを抜けるまでに第一種のアスペクトを作る場合、そのアスペクトがセクスタイルかトラインならYes。スクエアやオポジションならNo。合の場合は天体に左右されます。

アスペクトを作らない場合は、上記の「4.天体間が作るアスペクト」のルールに当てはまらないか細かく見る必要があります。

どれにも当てはまらない場合は、YESかNOの判断ができないと結論します。

ボイドタイムについて

ボイドタイムとは天体が現在いるサインを抜けるまでどの天体ともアスペクトを作らない状態をいいます。

ホラリー占星術を行う上でボイドタイムは重要な要素です。ボイドタイムの基本的な意味「ボイド中に起こったことは無になる。」ということが利用されます。ホラリーの質問に対して「何も起こらない」「変わらない」という答えになります。

ただし、月の在室サインによっては、例外があると「ウイリアム.リリー(ホラリー占星術の考案者)」は言っています。

ボイドタイムの詳細はこちらのページで紹介してます。

西洋占星術:ボイドタイム (void of course)

その他の重要なルール

ホラリー占星術では、質問に関連するハウスのみを使用して、その他は見ないというのが基本ルールです。また、同じ質問の占い間隔は最低でも3か月とされてます。

ホラリー占星術の勉強法

ホラリー占星術には特別なルールがありますが、考案されてから何百年も経過しています。その中で、少しずつ変化したり、独特のルールを設ける占術家もいます。

まずは、古典的なルールを学び、実際に起こった出来事と、ホロスコープを対比させ自分なりに解釈を編み出していくのが学習の方法かと思います。ホラリー占星術の本をこちらにまとめました:

ホラリー占星術の本:独学で占星術を学ぶ

ホラリー占星術に似た占星術でイレクショナル占星術というものがあります。ホラリー占星術は起こった事に対して占うものですが、イレクショナル占星術は「これから事を起こす場合いつがよいか」最適な日時を選択するための占いです。別途ページを設けていますので、こちらを参考にどうぞ:

イレクショナル占星術